第28話 起死回生!ムカつく奴の妹を人質にして取引
「クソッ!」
ギリトは拳を握りしめた。
このまま大人しくバタフライエフェクトに従えば月光隊は大事な収入源を失ってしまう。
「なんとかならないか? バジウス!」
「くそぉ!」
バジウスは怒りに任せて机を殴った。
「……もういい。こうなったら、俺たちのバックに何とかしてもらうか……相当怒られそうだし、最悪……殺されるかだが」
「待って」
会計係のアシュリーが冷静な顔で言う。
「アベルには確か妹がいたわ。その妹が私の妹の友達なの」
「なんだよそれ?」
「アベルの妹を紹介してもらうように頼めないかしら?」
「なるほど、アベルの妹を捉えて人質にしようというのか」
バジウスはニヤリと笑った。
◆
「兄さんの知り合いですか?」
アベルの妹、アメリアが不思議そうな顔をしている。
「ええ」
アシュリーは嘘を付いた。
アメリアはアシュリーの妹リザポットに連れられて月光隊の部屋に来ていた。
「アメリア、ここの人たちは皆、いいひとよ」
アシュリーが笑顔で言う。
「へえー、どんな人達なんだろう?」
リザポットがアメリアと話していると、突然ドアが開いた。
「君がアメリアか」
「あ、はい」
ギリトのメンバーが入ってきた。
「えっと、あなたは誰です?」
アメリアは首を傾げる。
「俺は月光隊のリーダーギリトだ」
「私はサブリーダーのバジウス」
「僕はマルコ」
「私はアシュリー」
ギリトは仲間を紹介した。
「それで、あなたがたは私に何の用なの?」
アメリアが問い掛ける。
「まぁ。ここでゆっくりしてくれたらいいんだよ」
ギリトはニヤリと笑った。
◆
盗賊のマルコは、街へ急いだ。
酒場に行けば、まだアベルがいるはずだ。
マルコはまだ10歳の子供だ。
ギルドではこうした使いを頼まれることが多い。
今回も簡単な仕事だった。
アベルを脅すだけ。
そうすれば、カブの売買権を取り戻すことができる。
「いたいた」
酒場にはギルドバトルで勝った喜びに浸るアベルがいた。
真っ赤な顔で酔っぱらっている。
「ね、アベルさん」
「お、お前は月光隊の」
「ちょっと用事があるんだ」
「何ですか?」
アベルは呂律が回っていない。
「実はさ、さっきのバトル無かったことにして欲しい」
「バカなことを!?」
「いいのかな、そんなに偉そうで」
マルコは冷たく言い放った。
「なんだと?」
「今、君の妹が僕達の人質になってるんだけどなあ」
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