第27話 元居たギルドから新たな脱退者!主人公を愛しすぎて……

ギルド部屋に戻った月光隊のメンバーは今後のことについて話し合っていた。


「カブの売買を取られたら、やばいな。収入がなくなる」


ギリトは深刻な面持ちで言った。

カブとはーー

冒険者の能力を一時的に高めるポーションの一種。

モンスターとの戦闘の時に使用すれば、効果を実感できる。

だが副作用がある。

常用すると、それなしでは生きていけない禁断症状に陥るのだ。

月光隊はカブをあるルートから仕入れ、冒険者たちに売っていた。


「このままだと、生活できなくなるぜ」

「わかってるよ。だから、どうするか考えてんだよ」

「あの、提案なんですけど……」


メリッサが遠慮がちに手を挙げた。


「なんだ? 言ってみろよ」

「もう一度、ジェイドを呼び寄せない?」

「なに?」

「え?」

「どういうことだ?」


ギリト、バジウスが疑問符を浮かべている。


「ジェイドなら、なんとかしてくれるかも……」

「ダメだ。あいつは追放したんだ」


ギリトが反対した。


「でも、ジェイドの支援能力は確かだった」

「支援?」


ギリトが尋ねた。


「ええ、ジェイドは、仲間のステータスを上げるスキルを持ってた」

「そんなわけねぇ」


バジウスが反論する。


「けど……」

「あいつがそんな能力あるといったところで、俺たちのステータスに変化は無かった」


バジウスがメリッサを睨む。


「でも、私達は自分達のレベルより高い相手と戦っても勝てた! あれはきっと……」

「黙れ!俺たちの実力だ!」


バジウスは声を荒げた。


「バジウス、あなたもしかして、ジェイドのスキルに気付いてるんでしょ?だからジェイドに嫉妬してたんじゃない?」

「はぁ?」

「だって、私たちよりレベルの低いジェイドの方がすごいスキル持ってるからって」

「馬鹿言うんじゃねぇ!」

「そういえば、ジェイドが加入してから調子が良くなった気がする」


それまで黙っていたマルコがポツリと言った。


「マルコ!バカなこと言わないの!」


会計係のアシュリーがマルコを叱る。

メリッサはマルコに笑顔を向け、ギリトに言う。


「いや、事実だよ。ジェイドが私と狩りに行ったことがあるんだけど、その時、今まで苦戦していた敵にも楽々勝つことが出来た」

「偶然だろ?」

「違うわ。その証拠に、さっきのギルドバトルの時、ギリトの動きがなんか鈍かったもん」

「うるせえ!」


ギリトはメリッサをぶった。


「痛い!」

「お前は、クビだ!」

「ふん、ジェイドに頭を下げたくないんでしょ!」

「黙れ!」

「ふん、こんなギルドこっちから願い下げよ!」


メリッサはギルドを脱退した。

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