第26話 死闘の果てに! かけがえなないものが奪われる

「ギリト……」


メリッサが心配そうだ。

治癒魔法を使った。

ギリトの傷口がみるみると塞がっていく。


「サンキュー」


ギリトは礼を言うと、また戦いに戻った。


「さすが、アベルさん。強いですね」


バタフライエフェクトのランマが話しかけた。

ランマも治癒魔法使い。


「まあ、これくらいは当然ですね」


余裕を見せるアベル。


「ですが、私の本領発揮はこれからのようですね」


アベルがニヤリと笑った。


「え?」


ランマが不思議そうな顔をしていると、


「うわあー!」


バジウスの声が響いた。

バジウスの胸元にナイフが突き刺さっていた。


「油断しましたね。バジウスさん」

「て、てめぇ……」


バジウスは膝をついた。


「これで、終わりです」


バジウスは炎の魔法を唱えた。


「バジウス!?」


ランマは驚愕の表情を浮かべている。


「ぎゃああああ!」


アベルは悲鳴を上げた。


「熱いぃぃ! 助けてくれぇぇ!」

「アベル!」

「アベル様!」


ユミとランマが駆け寄ろうとするが、


「来るなっ!お前達まで死ぬぞ!」


アベルが必死の形相で制止した。


「クソッ! てめぇら許せねぇ!」


ギリトは怒りに任せて、アベルに向かって突進していく。


「死ねええええ!」

「それは、こっちのセリフだ」


アベルは冷たく言い放った。

次の瞬間、ギリトは倒れていた。


「そんな……バカな……」


ギリトは信じられないといった様子だ。


「ギリトォ!」


ユミとランマが叫ぶ。


「ちくしょおおお!今の俺らじゃ勝てね。負けだ」


月光隊は負けを宣言した。



「では、負けた代償として、あなたがたのクエストの中で最も有望なカブの売買をいただきましょう」


アベルは冷たくそう言った。


月光隊に拒否権はなかった。

月光隊のメンバーは、ギルドホールから追い出されることになった。


「おい!お前のせいで負けちまったじゃねぇか!」


バジウスがギリトを責める。

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