第25話 ギルドバトル!元居たギルドが圧倒的実力差でボコられる!

数日前に遡る。

ちょうど、ジェイドが二度目のギルド追放にあった日。

同じ日に、『月光隊』はピンチに陥っていた。


「落とし前をつけさせてください」


『バタフライエフェクト』のギルドマスターであるアベルはそう言った。


「どうするつもりだ?」


ギリトは余裕の表情を浮かべている。


「簡単なことです。『月光隊』は解散していただき、残ったメンバーを私達が引き取ります」

「それは、困る」


ギリトは慌てた様子だ。


「じゃあ、どうするんですか?」

「どうするかって? 決まってんだろ。決闘だよ」

「え?」


こうして、『月光隊』と『バタフライエフェクト』のギルドバトルが行われることになった。


「おい!お前! なんで、こんなことになっちまったんだよ!」


バジウスが焦った声を出す。


「うるせぇ! お前がユミに声を掛けなきゃ、こうはならなかったんだぞ!」

「なんだと! てめぇ! 俺のせいにするんじゃねぇ!」


二人が言い争っている。


ギルドの揉め事はギルドバトルで解決が図られる。


『月光隊』は今、窮地に立たされていた。

『バタフライエフェクト』とのギルドバトルは、3対3のチーム戦。

『月光隊』からは、ジェイドとメリッサとバジウス。

『バタフライエフェクト』からはアベル、ユミ、ランマ。

急遽ギルドバトルは、ギルドホールの大広間で行われた。

野次馬が集まり出店が開かれ、お祭りムードだ。


「では、これより『月光隊』と『バタフライエフェクト』のギルドバトルを始める!」


審判役の男が叫んだ。


「おおおお!」

「がんばれえ!」

「月光隊に金貨10枚賭けてるんだ。負けんなよ!」


観客が血を求めている。


「両者、正々堂々と戦うように!勝利条件は……どちらかのチームのメンバーが負けを認める事。そして……」


審判はメンバーを見た。


「プレイヤーキルはご法度。誰か一人でも殺したら、そのギルドは反則負けだ」


3人の選手が一斉に武器を構える。


「始め!!」


試合開始と同時に三人が飛び出した。

最初に攻撃を仕掛けたのは、ギリトだった。

勝てば、チャラになる。

勝てば、逆に相手から金を奪うことができ、ユミも手に入れることが出来る。


「死ねやぁぁぁぁ!」


振り下ろした剣が、アベルに命中する寸前で、ギリギリのところで避けられた。


アベルは華麗に身を翻し、攻撃をかわしたのだ。


「何やってんだ! 早く殺れ!」


バジウスは、すかさず応援を送った。


「うおぉぉぉぉ!!!」


ギリトが雄叫びを上げながら、攻撃を続ける。だが、ことごとく交わされてしまう。


「くそっ! この野郎!」


ギリトは、アベルの首を目掛けて、大きく斬りかかった。


「甘いですよ」


アベルは、刀で受け止めると、そのまま押し返した。


「ぐはっ!」


ギリトは飛ばされ、壁に激突した。


「ちきしょう……」


ギリトのHPゲージは残り3割になっていた。


「大丈夫ですか?」

「ああ……」


アベルが心配そうに声をかけたが、ギリトの返事には覇気がなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る