第10話 俺のスキルがすげぇからって嫉妬する奴

「お前の支援のお陰だな」


バルバトスが笑みを見せる。


「そうですね」


俺は笑みを見せた。


「ジェイド、ありがとう」


ルリが礼を言う。


「いや、俺は……」


彼女の笑顔を見て、胸が熱くなる。


「ふん、何もしてねぇくせに」


ひとり、不満げな顔をしているのはツネナリ。


「くっ……」


俺は前のギルドでの扱いと、ギリトたちの顔を思い出して嫌な気分になった。

いつもこんな感じで、役立たず扱いされていた。

俺のスキルは分かりにくい。

ステータスに変化が無いからだ。

だが、確実に俺の精神力はスキルを使ったから減っているし、俺の周りにいる人は支援されているはずだ。

それを証明することが難しいだけだ。


「ギギギ!」


ゴブリンが一匹だけ起き上がった。


「あ!」


俺は叫んだ。

皆も襲おうとする。

が、バルバトスが制す。


「あいつの後を追って、ゴブリンのアジトを突き止めるぞ!」


なるほど。

バルバトスが考えたようだ。


「分かった!」


皆がゴブリンを追う。


「ふぅ」


一人、息をつく。

緊張していたのだ。


「ジェイド、大丈夫?」


ルリが心配そうに話しかけてきた。


「ああ、問題無いよ」


俺は微笑んだ。


「そう……なら良いけど……」


ルリはまだ不安そうだ。

俺は、彼女に見つめられてドキドキした。

ゴブリンの足跡を追い、森の奥へと進む。


「ここが奴らの住処か?」


バルバトスが呟く。

洞窟の前に辿り着いた。


「間違いないわね……」


ルリが答える。


「……」


バルバトスが無言でうなずく。


「じゃ、行こうぜ」


ツネナリが先頭に立って歩き出した。


「待って下さい! 罠かも!」


ラケシズが声を上げる。


「確かに上手く行きすぎているな」


バルバトスは腕を組み考える。


「俺が先に行って見て来るって」


ツネナリが俺の方を見た。

嫌な予感がする。


「こいつを連れて行っていいか? バルバトス」

「なぜ?」

「こいつのスキルが本当かどうか確かめたいだけだ」


ツネナリは俺の方をいやらしい目で見た。


「分かった。ジェイド。一緒に行ってくれ」

「は、はい」


俺は頭を下げた。


「任せておけ」


ツネナリは自信満々だ。


「気を付けてね」

「ああ」


ルリが俺に声を掛けてくれる。

ツネナリは俺を睨む。

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