第9話 初めて俺のスキルが認められた日
「来たわね」
ルリが言う。
暗闇の中に光るものを見つけた。
「ああ」
数は10匹程度だろうか。
武器を持っている。
「よし、行くぞ!」
バルバトスが皆に声を掛ける。
「ちょっと、待った」
「ん? ジェイド、どうかしたのか?」
「支援スキルを使います」
「ああ、頼む」
俺は『側にいるだけで』を発動させた。
「ジェイド、ありがとう。ステータスが上昇するのを感じる」
ルリが微笑んだ。
「ぎぎ!」
ゴブリンが俺たちに気付いた。
一斉に襲いかかってくる。
「まずは私からね」
ルリが前に飛び出す。
「ファイア・ボール」
1発目を放つと、他のゴブリンにも命中する。
「ギャッ!」
ゴブリンは燃えながら倒れた。
「サンダーボルト」
2発目は、ゴブリンたちに向かって放たれ、直撃した。
「ギィ!」
ゴブリンたちがバタバタ倒れる。
「次、マシュウ!」
バルバトスの指示が飛ぶ。
「はい!」
マシュウが前に出る。
短剣を振るう。
「グェ」
ゴブリンの首が裂け、血が噴き出す。
「はぁっ!」
ツネナリが飛びかかる。
黒き長髪を舞わせながら、剣を乱舞させる。
「ぐぇ」
ゴブリン数体がバラバラになる。
「さすが、ツネナリね」
ラケシズが褒める。
彼女も彼女で、後方から弓を放ち、数体のゴブリンを葬っていた。
「ふん」
ツネナリはそっぽを向いた。
「かっこつけちゃって」
ラケシズは微笑んだ。
俺は、この二人は仲がいいのかもと思った。
「お前ら、今日は調子いいな。俺の出る幕無しってか」
バルバトスは言った。
「調子がいいみたい。おいら」
マシュウが明るい声で応える。
「やっぱ、これって……」
皆が俺の方を向く。
「いやぁ、それほどでも……」
俺は照れながら頭を掻いた。
初めて自分のスキルが認められて嬉しかった。
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