第7話 変態さん、初めてのクエスト
「嫌よ」
冷たい態度を取る。
「ごめんなさい。ジェイドは小さい子が好きな変態さんなので、近づかないようにして下さい」
サツキが余計なことを言い出した。
「分かった」
ルリは無表情だった。
◆
「さぁて、今日はデルピ村を襲うゴブリン討伐クエストだ。頑張るぞ」
バルバドスが広間で声を上げる。
俺たち『プッチン同盟』は、ギルドマスターの指示に従い、依頼をこなす。
メンバーは俺、ルリ、ラケシズ、ツネナリ、マシュウ、そしてバルバドスとルリの部下5人だ。
サツキは、留守番である。
「あの……」
俺は手を上げた。
「どうした? ジェイド」
「このメンバーって……」
「ああ、そうだ。ジェイドが入って初めての戦闘になる」
「俺、レベル8ですが……」
「問題無い。お前の支援スキルがあれば」
支援スキル『側にいるだけで』の効果の一つに、側にいる味方のステータスを上昇させるというものがあった。
この分かりにくいスキルは、メンバーに誤解を与えることが多い。
俺のお陰じゃなくて、メンバーが強くなったとか調子が良くなったとか、勘違いする。
結果、俺は、横でただ立ってただけで何もしてないと思われることが多い。
「大丈夫よ、ジェイド」
ルリが話しかけてきた。
「私がフォローするから」
彼女は笑顔で言った。
さっきのことは根に持ってない様だ。
「ルリ……」
胸が熱くなる。
惚れた弱みだ。
「あー、お二人さん。そういうのはクエストが無事終わってからやってくれないか?」
マシュウが苦笑している。
「はい……」
俺は顔を赤くしながら返事をした。
デルピ村の門の前に立つ。
「ちいせぇ、村だな」
バルバトスが呟く。
「でも、ゴブリンの被害が出てるみたいだし」
ラケシズが言う。
「ああ、早く終わらせようぜ」
ツネナリが剣に手をかけた。
「みんな、油断しないで!」
ラケシズが注意を促す。
「おう! 分かってる。まずは村長に話を聞こう」
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