第7話 変態さん、初めてのクエスト

「嫌よ」


冷たい態度を取る。


「ごめんなさい。ジェイドは小さい子が好きな変態さんなので、近づかないようにして下さい」


サツキが余計なことを言い出した。


「分かった」


ルリは無表情だった。



「さぁて、今日はデルピ村を襲うゴブリン討伐クエストだ。頑張るぞ」


バルバドスが広間で声を上げる。


俺たち『プッチン同盟』は、ギルドマスターの指示に従い、依頼をこなす。

メンバーは俺、ルリ、ラケシズ、ツネナリ、マシュウ、そしてバルバドスとルリの部下5人だ。

サツキは、留守番である。


「あの……」


俺は手を上げた。


「どうした? ジェイド」

「このメンバーって……」

「ああ、そうだ。ジェイドが入って初めての戦闘になる」

「俺、レベル8ですが……」

「問題無い。お前の支援スキルがあれば」


支援スキル『側にいるだけで』の効果の一つに、側にいる味方のステータスを上昇させるというものがあった。

この分かりにくいスキルは、メンバーに誤解を与えることが多い。

俺のお陰じゃなくて、メンバーが強くなったとか調子が良くなったとか、勘違いする。

結果、俺は、横でただ立ってただけで何もしてないと思われることが多い。


「大丈夫よ、ジェイド」


ルリが話しかけてきた。


「私がフォローするから」


彼女は笑顔で言った。

さっきのことは根に持ってない様だ。


「ルリ……」


胸が熱くなる。

惚れた弱みだ。


「あー、お二人さん。そういうのはクエストが無事終わってからやってくれないか?」


マシュウが苦笑している。


「はい……」


俺は顔を赤くしながら返事をした。


デルピ村の門の前に立つ。


「ちいせぇ、村だな」


バルバトスが呟く。


「でも、ゴブリンの被害が出てるみたいだし」


ラケシズが言う。


「ああ、早く終わらせようぜ」


ツネナリが剣に手をかけた。


「みんな、油断しないで!」


ラケシズが注意を促す。


「おう! 分かってる。まずは村長に話を聞こう」

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