第6話 朝から猫耳幼女が馬ノリになって俺にせまってくる
ギルドの名前は『プッチン同盟』だった。
入ってから知った。
ちょっとカッコ悪くて後悔した。
「新しく入ったジェイドだ。みんな、よろしく頼む」
ギルドメンバーの前に立つ。
「よろしくお願いします!」
頭を下げて来たのは、尖った耳が特徴的なエルフのラケシズ。
白い肌と金髪が美しい。
職業はアーチャー。
「よろしく!」
元気な挨拶は、まだ10歳の男の子マシュウ。
職業は盗賊。
「……」
黙って横を向いているのは、ぼさぼさの黒い髪、和服みたいな服に剣を腰に差した男ツネナリ。
職業は剣士。
反応はそれぞれだったが、歓迎されているようだ。
そして、ルリと視線が合った。
「ジェイドと一緒になれて嬉しい!」
最後にルリ。
彼女の職業は魔導士。
軽く微笑む彼女。
胸が高鳴る。
「よぅし! まずは歓迎会だ!」
ギルドの部屋で、酒と食事が振る舞われた。
◆
翌日……
僕は与えられた部屋で寝ていた。
「ジェイドさん! おはようございます!!」
朝から大きな声で挨拶してきたのは、自称ルリの妹分のサツキ。
種族は猫獣人。
年齢は9歳らしい。
「ああ……」
俺は眠い目をこすりながら返事をした。
昨日は、遅くまで酒を飲んでいたせいで、二日酔いがひどい。
頭がガンガンする。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
サツキが心配そうに見てくる。
「ああ、なんとか……え?」
なんと、サツキは俺の身体の上に馬乗りになっていた。
「ちょっ……何を……」
「えへへ~♪」
「どけよ!!」
俺は力づくで引き剥がす。
「痛いなぁ」
「こっちのセリフだ」
「お兄ちゃん、酷いよぉ」
「いいから離れろ」
「やだ」
また乗ってきた。
「お前なぁ……」
「えへへ」
嬉しそうな表情を浮かべている。
「何が楽しいんだよ?」
「だって、ジェイドってば私のタイプなんだもん。いっぱい甘えたいし、一緒に居たい」
「は?」
「ねぇ、これから毎日、起こしに来てよい?」
「ダメだ」
「えー」
不満げな声を上げる。
俺はロリコンじゃない。
「そもそも、お前はルリとはどういう関係なんだ?」
「え? 私? うーん、なんていうか、姉妹かな?」
「姉妹?」
「うん、血は繋がってないけどね」
「ふぅん」
複雑な家庭環境か。
「というわけで、今日もよろしく」
「だから、ダメだ」
「えへへ」
「おい……離れ……」
ガチャッ!
「まぁ、ジェイドったら、そんな小さな女の子が好きなのね」
扉を開けて入ってきたのは、ルリだった。
「え? いや……」
「最低」
軽蔑するような目で見つめてきた。
「いやいや、違うんだ!」
「言い訳は後で聞くわ」
「聞いてくれ!」
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