第3話 彼女との運命の出会いです。
空を見上げる。
真っ暗な夜だった。
星が瞬いている。
綺麗な空だ。
だが、今の俺にとっては残酷な景色にしか見えない。
「うぅ……」
涙が出てきた。
辛い。
これからどうやって生きればいいのか?
「誰か助けて……」
「おい」
「え?」
背後から声をかけられた。
振り向くと、そこには一人の少女がいた。
身長は低い。
12歳くらいだろうか? 黒いローブを着ている。
フードを被っており顔はよく分からない。
「ジェイド……」
少女は呟いた。
「え?」
「私のこと覚えてる?」
「君みたいな可愛い子、一度見たら忘れないと思うけど……」
「嘘つき」
「へ?」
「本当は気付いてるんでしょ? 私だよ」
「まさか……」
この声……。
聞き覚えがある。
でも、ありえない! だって彼女は……
「ルリ……」
そう呟き、俺は硬直した。
目の前にいる女の子。
彼女の名前はルリ。
年齢は15歳だ。
黒髪ロングヘアーで瞳の色は紫色。
整った顔をしている美少女だ。
彼女との出会いを思い出す。
10年前……
俺が転生したばかりで、まだ幼かった頃だ。
とある街を歩いていた。
その時、後ろから優しい女性の声が聞こえてきた。
「ふぇ!?」
ビックリして変な声を出してしまった。
振り返ると、そこに可愛い女の子がいた。
彼女は泣いていた。
「どうして泣いてるの? もしかして……親とはぐれたの?」
「うん……」
「大丈夫。俺が一緒に探すから」
「ありがと」
というわけで、二人で彼女の両親を探すことになった。
「ところで君はどこから来たの?」
「ん、転生した」
「え?」
俺の他にいるのか。
そう思った。
「ルリ!」
「パパ!」
少し離れた場所に父親らしき人を発見した。
俺達は駆け寄った。
どうやら彼女の両親が無事だったようだ。
「心配したぞ」
「ごめんなさい」
「いや、無事に見つかって良かったよ」
「本当にありがとうございます」
「いえ、当然のことをしたまでです」
こうして、俺は家族との再会を喜ぶ少女を見送った。
「ね、名前は?」
「ジェイド」
「そう。私はルリ」
それがルリとのなれそめだ。
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