第39話 人類視点2


*所長視点


「クソッ、なぜこんなことになっているのだ。私はこの後の運命が決まっていたというのに。今ごろは女どもとイチャコラしているはずだというのに。」


 所長は今、王城に向かうため馬車で移動している。もちろん、森に巨大な反応が上がったからだ。それを、聖騎士団と国王に報告する義務があった。


「此処から先は王城でございます。馬車では入れないため歩きでの移動をお願いします。」


「わかった。国王はどこにおられる?

それとできればでいいが聖騎士団長も国王のもとに向かわせてくれないか。」


「国王と団長は今の時間なら謁見の間に二人ともおられると思います。」


 それは好都合だ。呼ぶ手間がはぶける。


「君はこのまま馬車を頼んだ。」


 私はそこにいた騎士に馬車を頼むと、謁見の間に少し速歩きで向かった。



「国王!!報告があります!!」


 私は勢いよく謁見の間の扉を開けて、団長に睨まれながらも国王に報告した。


「近くの森にてドラゴン級の魔力反応を探知しました。すでに巨人族が交戦、全滅した模様です。」


「それは本当のことなのか?」


 そう団長が聞いてきたが、このことを予測して報告書と探知結果を持ってきていて正解だった。あいつに問いただされたらめんどくさいからな。


「本当です。こちらに探知結果と報告書があります。ご覧ください。」


「王、どうやら本当のようです。」


「なるほど、聖騎士団と魔法騎士団の総攻撃にてこやつを殲滅せよ。」


 この王様はとんだバカか?

 その報告書にちゃんと書いているだろ、まだどんな魔物か調査中だと。それに冒険者ギルドから報告があった、サソリ型の魔物についても解決してないというのに。


「しかし、「貴様、国王の言っていることが理解できないのか。貴様は私と森の手前にて指揮をとればいいんだよ。口答えする権利は持っていないんだ。」くっ、わかりました。」


 こうしてなんの準備もなく前線に出る羽目になった。


 だが、このときの私は油断していたのだろう。相手がなにかわからない中、王国最強と名高い聖騎士団長と自分がいれば国が相手出ない限りどうにかなるだろうと。


 相手が冒険者ギルドから報告があった。サソリ型の魔物であったこと、状態異常に対して何も準備をしていなかったこと。


 そんなことがあり、私達の王国は10日にして滅んだ。


 これが、100年も残ってきていた。所長の日誌だ。

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