第13話 サソリと人間 *別視点あり

*謎の人視点


 俺たちは、ゴブリンの大量発生の調査に来たサルトの冒険者だ。


「リーダー!こんな話に乗っかってよかったんですか?」


 一緒に歩いていた体の小さい方の男がそう言った。


「ショウ、いいんだよ。ここは俺たちが生まれた街でもあるんだ。それを今度こそ守るためになら死んでもいいと思っている。」


 俺は一緒に歩いていたショウにそう言った

すると、隣を歩いていた体が俺よりも大きい女が


「カルもこう言ってんだし俺たちはそれに従えばいいのさ。」


 と言うと


「リン姐、そうだな。」


 となにかを決意したような声でショウは

言った。


「そろそろ森に行くぞ。

 この街の危機かもしれないんだ。しっかり探索して報告するぞ!」


「「おう!!」」


 そして、俺たちは森に向かった。

 そこで見たのは…


「なぜゴブリンがこんなに死んでいるんだ。

一体この森で何が起こっているんだ。」


 なんと、万単位に及ぶようなゴブリンの死体を俺たちは発見した。すると、


「リーダー!繭があります!!」


 今のはショウの声か

 繭だときっとそれがこの死体の山を作った

本人だろう。


「今そっちに行く!リンもこい!」


 ショウの方に向かうついでにリンも呼んだ

 それにしても繭か…嫌な予感がするな。


「これは、なんて大きさの繭なんだ。」


 繭は1m位の大きさだが、こんな表層でこの大きさの繭を作り出す魔物はいない。

 はやくこれ運び出して、ギルドで調べないと…


「リーダー、この音なんですか?」


パリッ


「!!!、いかん

繭から出てくるぞ! リン、人を呼んでこい

わかったな。そのままここの位置を教えて、ギルドに知らせろ、急げ!」


「りょ、了解!   …死ぬなよ。」


「「わかってる。」」


*サソリ視点


 やっと出れたと思ったらこの状況はなんですか、なんで俺は刃を向けられているんだ?


『誰だお前ら!』


「リーダー、このスコーピオンなんかおかしくないですか。色や形はもちろんのこと、

威圧感が中層に居るスコーピオンと全く違いますよ。」


 ん? 中層? 成る程ここは上層ということか!

 

 しかし、どうするか。逃げれそうにもないし、そういえば、人間を殺しても経験値は入るのかな。


 殺すか。




*カル視点


 俺たちは何を見ているのだ…

 スコーピオンだと思いたいが、体色が黒だったり紫だったりと角度によって変化しているし、なにより、尻尾が2本もある。


「リーダー、このスコーピオンなんかおかしくないですか。色や形はもちろんのこと、

威圧感が中層に居るスコーピオンと全く違いますよ。」


 そんなことはわかっている。

一つわかったことはこいつが特殊魔物だということだ。


「どうやらこいつは俺たちを逃がす気はなさそうだな。」


「リンを逃がして正解でしたねリーダー。」


 あいつは人の死を見るのに慣れていない、

だから俺たちが死ぬことが確定した俺たちの近くにいるよりも逃がしたのは正解だったな


「いくぞ、ショウ。 家に帰るぞ!」


「ウッス!!」

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