第7ワン【おふろ、きらい】

 場所・自宅のリビング


「......とうとう追い詰めたぞ。これ以上逃げても無駄だ。おとなしく縛につけ!」


 ブン太、彼女から逃げようとするも部屋の角に追い詰められ絶対絶命


「......捕まえた! よ〜し、それじゃあブン太、お風呂入ろっか」


 場所・お風呂場


「どこか痒いところはございませんか〜? って、聞いても答えられないよね。キミってば人がオーディションの合格報告しても、首傾げてばかりなんだもん。まぁキミらしいと言えばキミらしいんだけどさ」


 ブン太、彼女に洗われている


「私的には全く手応えなかったのに、なんで合格したんだろ? 不思議だよね。私より若くて上手い人は沢山いるのに......でも初めて掴んだ主役、選んでくれた人たちの期待に応えられるよう、精一杯頑張るね」


 ブン太、風呂が嫌いすぎて震えている


「そういえば私が演じる主役の女の子、私と一緒でワンちゃんと生活してるんだ。犬種はパピヨンで、名前は『おむぎ』ちゃん。凄く可愛い女の子だから、きっとブン太も気に入ると思うよ」


 ブン太、顔を横にプイと向ける


「あれ〜? もしかしてブン太、嫉妬しちゃった? 隠しても私にはわかるよ〜だ。だってブン太が赤ちゃんの頃から面倒みてきたんだから。キミが私から視線を外す時は、悪いことしちゃった時と、ヤキモチ焼いてる時ぐらいだからね。残念でした〜」


 ブン太、身体を少しかがませる


「......ちょっと待って。あのう、ブン太さん? その体勢はもしや.......ストーッ!」


 ブン太、柴ドリルを放つ

 彼女、白い泡を全身に浴びる


「......(顔に付いた白い泡を落とし)もうブン太〜! ブルブルするのはシャンプー落としてからっていつも言ってるでしょ! あ〜あ、私までお風呂入らなきゃじゃない。罰として今日はおやつ抜きね」


 ブン太、もう一度柴ドリルの体勢をとろうとする


「嘘です! ごめんなさいブン太様! 二発目は勘弁してください!」


 ブン太、柴ドリルの体勢をとく


「......はぁ。キミさ、絶対私の言ってること理解してるよね? なのにキミは言葉を話せないの、ズルくない? おむぎちゃんみたいに、ブン太も喋れたらいいんだけどなぁ。そしたら体調悪かったら教えてもらえるのに」


 ブン太、「いいから早くシャワーで洗い流せ!」と鼻を鳴らしてアピール

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