第5ワン【だいじょーぶ?】
場所・自宅
深夜、彼女は夢にうなされている
「......すいません......今度こそは上手くガヤやりますので、私も入れてください.......お願いします......」
彼女、目を覚ます
「......夢、か」
首を横に振ると、そこにはブン太がいて。心配そうにこちら見つめている。
彼女は片方の頬に手を添えると、明らかにブン太が舐めたと思われるで唾液で濡れていた。
「もしかしてブン太が起こしてくれたの? ありがとねブン太」
彼女、ブン太を撫でる
「......最近、たまに見ちゃうんだ。ガヤやってたら音響さんに「君の声はリアリティが
無いから邪魔だ」って言われる夢。酷いよね。だったら呼んでもらわらなくて結構です。って言いたいところだけど、事務所から売れっ子の先輩のバーターとして仕事貰ってる以上、私に拒否権は無いからね」
「あ~あ~、私も早く偉大な先輩たちみたいに売れっ子になってじゃんじゃんアニメの主役とかやりたいよ。同じコンテストで準グランプリ取った子は初めてのオーディションでいきなり主役に抜擢されるし。『寿司の子』っていうアニメ、ブン太知ってる? 最近よくテレビのCMで流れてるやつ。ほら、双子の赤ちゃんがオタ芸しながらお寿司握ってるアレだよ」
ブン太、つぶらな瞳で首を傾げる
「グランプリを取った私は一年やってもモブキャラばかりで、準グランプリ取ったあの子はアニメの主役きっかけでラジオ番組まで持ててさ......これじゃ立場が逆だよね。情けなくてホント、涙が出てくるよ......」
ブン太、彼女の瞳からこぼれる涙を舐める
「......もう、ブン太くすぐったい。っていうかキミ、私のこと起こす前に変なとこ舐めたでしょ? さっきから舐めらた箇所から地味にアンモニウム臭がするんですけど。感動のシーンが台無しなんですけど」
ブン太、素知らぬ顔で明後日の方向へ顔を向ける
「まったくブン太さん、キミってヤツは......最高の私の相棒だよ」
彼女、ベッドから上半身を起こす(SE・布団をまくる音)
「なんかすっかり目が覚めちゃった。どうせ明日も仕事無いし、いっそこのまま起きて..
....そうだ」
彼女、ブン太に顔を近づけて、呟く
「――ねぇ。ちょっと早いけど、朝のお散歩行こうか」
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