第2ワン【ぷろふぃーるって、なに?】

 場所・自宅アパート


「......えへへ」 


 ブン太、PCを見ている彼女に首を傾げる


「ごめんねブン太、私いま凄く変な顔しちゃってるよね。だって聞いてよ。私のプロフィールがついに事務所のホームページにアップされたんだ〜」


 彼女、ブン太の前にノートPCを置く


「マネージャーさんにお願いして自然の多い場所を背景に撮ってもらったんだけど、まさか東京の、しかも銀座のど真ん中にあんなに自然豊かな公園があるなんて思いもしなかったよ。これで地元が恋しくなっても安心だね。あ、今度一緒に散歩しに行ってみようか。ブン太も絶対気に入るよ」

「......ちなみに、プロフィールだけじゃないんだよ。ここを押すと......」


 SE・ノートPCのマウスをクリックする音


『ねぇおじさん。私、帰る場所がないんだ。もちろんタダでとは言わないよ。おじさんに泊めてくれたら、おじさんの望むこと何でもして、あ・げ・る』


「なんとボイスサンプルまで聴ける仕様になっているのです! どう? プロっぽいでしょ!」


 ブン太、ノートPCから聴こえる彼女の声に首を傾げる


「ふふ。反応してる反応してる。他にもあるんだよ」


 SE・ノートPCのマウスをクリックする音


『お祖母様、またでございますか。あれほど宝箱を開ける際は魔法で魔物かどうか識別してから開けるようにと、口を酸っぱくして申していますのに。バカなのでございますか』


 ブン太、ノートPCから聴こえる彼女の声に首を傾げる


 SE・ノートPCのマウスをクリックする音


『人の感情というのは時に恐ろしいもので。昨日まで大好きで仕方のなかった相手のことを、たった一つの出来事がきっかけで憎悪へと反転してしまうのだから。我々人類の本質は悪であるという説は、あながち間違っていないのかもしれません』


 ブン太、ノートPCから聴こえる彼女の声に首を傾げる


「どうブン太? マネージャーさんのチョイスで選んでもらった三つは? 個人的にだと、私はやっぱり最初のやつが好みかな。なにか年の差ラブコメの始まりを期待させるような感じがして好きなんだよね」


 彼女、ブン太の顎下を掻いてやる


「いきなり名前のある役とかは難しいだろうけどさ、今からオーディションが楽しみだよ。それにもしかしたらオーディション会場で憧れのあの人にも会えるかもしれないし.....えへへ。早くオーディションの話来ないかなぁ」


 ブン太、呆れたような鼻を鳴らし、彼女からある程度離れた位置に寝る





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