僕のご主人様が超人気女性声優になるまで。
せんと
第1ワン【ここから、はじまる】
場所:アパート
SE・部屋のドアが開く音
「とうちゃ~く。ごめんねブン太。狭いところにずっといて疲れたでしょ。ほら、もう出てきて大丈夫だよ」
SE・犬用キャリーバッグのチャックが開き、中から一匹の柴犬が出て来る音
「おっ、床の匂い嗅いでる嗅いでる。新しいお家に興味深々だね。犬によっては警戒心が強くてなかなか出てこないかもって聞いてたけど、ブン太には関係ないか。そもそもキミ、誰とでも仲良くなるタイプだもんね」
彼女、立ち上がって部屋を見回す。
「今日からここが私とブン太の新しい家......そして、声優・二ノ宮初奈の伝説が始まる場所、か......。まさか専門学校で受けた事務所主催のオーディションに合格するなんて、夢にも思わなかったなぁ。しかも憧れの東京での一人暮らしまで叶っちゃって。ねぇブン太、私、運使い果たしてないよね?」
彼女、ブン太に話しかけるが首を傾げるのみ。
「お母さんが最後の最後にブン太を東京に連れてゆくのを許してくれてホント良かったよ。声優になる夢を諦めかけていた時、キミは私の夢の中に現れて励ましてくれた。そんなキミに私が声優として活躍する姿をどうしても一番近くで見ていて欲しいんだ」
彼女、ブン太の頭を優しく撫でる。ブン太、腹も撫でろと要求。
「はいはい分かりました。まったく、キミってばもうこの部屋に慣れたのかな。適応能力高すぎでしょ」
ブン太、気持ち良さそうに床を転がる
「高すぎるといえば......ここ、ペットOKな物件だけあってちょ~っとお高いんだよ
ね。高校時代からバイトしてコツコツお金貯めといて正解だったな」
「人は守るものができると強くなれるって言うし。私、これからバリバリ声優として働いてキミの居場所代と食費稼ぐから、応援よろしくね!」
SE・柴犬の吠える音。からの舐める音。
「コラッ、ブン太ってば、くすぐったいよ。そんなに激しく顔を舐めないの......あ、も~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます