第2話 ~RPK~
RPKを初めて持った。なんとなくわかっていたが、ゲームのように持って走るのは不可能そうだ。かなり重い。いや、俺が運動不足なだけかもしれないが。
さて、どこに魔物がいるのだろうか。
かっこいい武器は手に入れたが、戦場がない。戦場が無ければ、武器が輝くことはない。
とりあえず、家を出よう。我が家は、宮殿(王城かも?) から続く大通り沿いにある。人通りも多いし、冒険者集団についていけばいいはず。
大通り沿いで数十分待っていると、いかにもと言った冒険者集団が現れた。30人規模の大きな集団だ。
「(チャンスだ!)」
元から居ましたよという雰囲気を醸し出しながらついて行く。
はたから見れば、銃を持った男がついてきているのは恐怖かもしれない。だが、どうやらこの世界に銃はないようで、色眼鏡で見られることはあっても怖がられることはなかった。
大通りから延びる小道を歩いて2時間。森に入った。一気に空気が変わった。暗くてジメジメ。植生で暗くなっているというより、何か周囲を暗くするオーラが森全体に立ち込めてるようだ。
まさに、★THE魔物の森★って感じ。だが、ここは目的地ではないようで、サクサク森の中を進んでいく。
森を抜けると、広い平野に出た。さっきまでは快晴だったのに、この平野だけは霧が立ち込め、空は曇天だ。
「おい!左を見ろ!ゴブリン!数……約700!」
先頭を歩く冒険者集団のリーダーとみられる人が叫んだ。
ゴブリンの大群。おそらくこの人たちは、あのゴブリンの群れを倒すために来たのだろう。
初めてゴブリンを見た。創作で見るほど気持ち悪くはない。肌が緑で木の棒を持ったしわだらけの少年といった感じだ。
俺は銃を撃つためにRPKをバイポッドで地面に据え付けた。イヤーマフもしっかりと装着し、射撃をしようとしたら、
「お前何やってるんだよ。死ぬ気か!?」
知らない冒険者に心配された。
「ふっふふ……。君たちこそ自分の心配をしな!」
かっこつけて言いかえしてやった。すごく痛いな……。
ゴブリンまでの距離は約100m。他の冒険者たちは火の壁みたいなものを出して攻撃している。その中で俺の目に留まったのは一人の弓使い。物理攻撃が効かないと聞いていたが、弓をどう使うのだろうか。
シュッと弓が放たれると、炎がついた矢が飛んで行った。"物理攻撃は効かない"というのは、弓を物理攻撃に使うのではなく魔法攻撃の土台として使っているということだったのだ。
"銃弾に魔法を付与できれば..."と考えながら、アイアンサイトを覗く。
ゴブリンは量こそ多いが、鈍足で、数も多い。適当に撃っても当たる。俺はトリガーに指をかけ、先頭集団に照準を合わせる。
タタタタタタタタタッ
「何の音だ!」
「それは何だ?」
冒険者集団は銃にくぎ付けになる。
「お前ら、見てる暇があるか!?さっさと攻撃しろ!」
リーダーが言うと、各々攻撃を再開した。
素晴らしい連射力。体中で感じる反動。ボルト後退時のカシンカシンという機械音。薬莢の落ちる金属音。すべてが心地よい。ゴブリンがドミノ倒しのように死んでいく。それもそうだ。7.62mmの弾がマッハ2で飛んできているのだから、当たった場所によっては瞬殺。気持ちいい。
だが、玉切れを起こしてしまった。別の75発マガジンを装填しようと頑張るが、かなり装填が難しい。
ガチャ……
かなりコツがいるようだ。
カチャカチャ……
敵ゴブリンは目の前まで来ている。だが、冒険者たちはこちらを見てばかりで攻撃をしてくれない。
「早く攻撃しろよ!」
俺は声を張り上げてしまった。マガジンがうまく入らないからって、人に当たるのよくない。一度深呼吸をして装填した。
カチッ
「よかった...」きれいにマガジンが入った。
カシーン
コッキングレバーを引いて、射撃用意が完了。また照準を合わせて、射撃開始。
タタタタタタタ
素晴らしい。こんなに銃の射撃とは魅力的なものなのか。恐ろしい火力。すさまじい連射力。ゴブリンの死体がゴブリンの行く手を阻み、行く手を阻まれたゴブリンは倒れる。最高の気分だ。
何度射撃をしただろうか。銃から煙が出ている。
「おい。おい!死体を攻撃してどうするんだ?」冒険者集団のリーダーが笑顔で言ってきた。
至福の時間を邪魔されて少し癪に障ったが、銃口から煙が出始め、銃身も悲鳴を上げている。仕方なく戦闘を終えた。
結論、ゴブリンに銃は有効だった。至福の時間。最高の気分だった。もっとやりたかった。たくさんいたゴブリンはあっという間に消えていた。
「お前、冒険者ランクはいくつだ?」冒険者集団のリーダー的な人に聞かれた。
「冒険者ランクってなんですか?」いや、おそらくはギルド的な何かがあるのだろうが、一応聞いた。
「お前!ギルドに入っていないのか!?金はどうしてるんだ?というか、さっきの武器は何なんだ!?」
興味津々といった目で聞いてくる。悪い人ではなさそうだ。
ゴブリン退治で出会った冒険者集団に連れられて、冒険者ギルドに行くことになった。話を聞く感じは、よくあるみんなが想像する冒険者ギルドのようだ。そこまで行く最中、
「その武器何なんだ?」
「さっきの魔法はなんなの?」
冒険者集団の人々が聞いてくる。バレると面倒なことになりそうなので嘘をつくことにした。
「これは、風魔法を使って石を飛ばしているんだ。」
適当なウソだ。すぐバレるだろう。だが、
「すげぇぇぇ!」
「そんなことできるんですね!」
結構簡単にだますことができた。ちょろい。
「おい。着いたぞ!ここがギルドだ。」
窓口があって、椅子と机がたくさん置いてある。冒険者らしき人は酒を飲みながら談笑。建物の半分が市役所で、もう半分が酒場と言った感じだ。
「じゃあ、俺は向こうで待ってるから。」
リーダーは知り合いと思われる人たちの机へ向かった。俺も窓口へ向かう。
「冒険者登録でしょうか?」
窓口の女に聞かれた。
「えぇ、そうです。」
「では、こちらにあなたの使うことができる魔法とスキルを記入してください。」
「あの、魔法が使えないのですが……。」
真面目な顔で答えた。
「では、冒険者登録は出来かねます。」
ダメだった。そりゃそうだ。魔法の使えない人間が冒険者なんて無謀そのものだしな。その時、リーダーがやってきた。
「こいつの戦歴みてみてくれ。驚くからよ。」
リーダーは誇らしげに言った。
「……この水晶に触れてください。」
また特大ビーダマに触ることになった。まぁ、減るものでもないから触った。
「え。これは本当ですか?」
女も困っている。
「残念だが、こいつはすごく強い。魔法は使えないが、特例でOKできないか?」
リーダーが言うと、
「ギルドマスターに確認しますので、少しお待ちください。」
受付嬢は駆け足で階段を上がっていった。
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