第4話 ぐぎゃの皆さん、驚愕の真実!!
「この人たちも事情があるなので、お話を聞いてみましょう」
ティセ子さんは改めて身を乗り出すようにして、両手をぱたぱたさせてます。コボルト(仮称)たちは、何度も肯き、そしてうぎゃぐぎゃと言ってます。
「なるほど。なるほど、なるほど」
ティセ子さんは何度も肯き、ラヴィーさんの方へ振り返ると言いました。
「こちらのぐぎゃの皆さんは……」
「ぐぎゃの皆さん?」
首を傾げるラヴィさんにティセ子さんは改めて説明します。
「ラヴィーがコボルトと呼んでいる方たちです。どうやら自分自身は『ぐぎゃ』と名乗っているようです」
要するにラヴィーさんの言うコボルトっぽいモンスターたちは、自分自身を『ぐぎゃ』と呼んでいるようです。
「それで、そのぐぎゃたちは、どうして私たちを脅かしているんだ?」
「ぐぎゃさんたちは、人間と条約を結び、そこの小川を境にして、向こう側が人間の領地。こちら側がぐぎゃさんたちの領地と定めたそうです」
「ふむふむ」
「しかし最近、人間が勝手にぐぎゃさんたちの領地に入って、狩りをしているとの事です。ぐぎゃさんたちの獲物が無くなり困ってしまい、やむなく人間を追い返すために脅かしていたそうです」
「ぐぎゃぐぎゃ」
コボルト(仮称)改めぐぎゃさんたちは、ティセ子さんの説明に、そうだそうだと言わんばかりに肯いています。
「なるほど、決して人間に敵意があるわけでは無いのだな」
ぐぎゃさんたちは、またティセ子さんにぐぎゃぐぎゃと何か言ってます。ティセ子さんは肯き、そしてラヴィーさんの方へ向き直って言いました。
「ぐぎゃさんたちは人間に恐れられているとの事です。人間の村に近づくと攻撃されるので、私たちに仲介をお願いしたいそうです」
「そうか、そうか……」
一度はうなづいたラヴィーさんですが、その事に気がつきます。
「待て、愛玩鳥類。私たちって何だ? 私たちって! 私も含まれているのか!」
「お友達だから当然です」
当然ですね。
「ううむ、まぁこれも冒険のクエストと思えばいいか。色々と情報も手に入るだろう」
ラヴィーさんは納得したようです。
「分かった、愛玩鳥類。仲介してやるとコボルト……、じゃない。ぐぎゃの皆さんに伝えてくれ」
ティセ子さんはまた両手をぱたぱたさせます。ぐぎゃの皆さんも、ぐぎゃぐぎゃ言いながら、納得してくれたようです。
「お願いしますとの事です」
ティセ子さんはそう言いました。今更ながらラヴィーさんはその事に気がつきました。
「ところで愛玩鳥類。お前、コボルト……。いやぐぎゃの言葉が分かるのか?」
もっともな疑問です。ティセ子さんはラヴィーさんの方へ振り返ると上目遣いに何事か考え込んでいます。
考えている。
まだ考えている。
考えている。
そしてうんうんと肯くと言いました。
「分かりません。今さっきあったばかりの、まったく未知の知性体の言葉など分かるはずがありません」
「今、会話していただろう!!」
当然、ラヴィーさんは怒りますが、例によってティセ子さんは平然としてます。
「会話はしていません。でも何となく考えている事は分かります」
「そういうものなのか?」
「ボディランゲージ?」
ティセ子さんはそう言うと、またぐぎゃの皆さんへ向き直り、両手をぱたぱたさせます。その様子にティセ子さんは肯き、ラヴィーさんへ言いました。
「ぐぎゃの皆さんもそうだそうだとおっしゃってます」
「いや、ボディランゲージというレベルじゃないだろう!!」
しかしティセ子さんは意に介しません。
「それでは善は急げです。人間の村へ行って、事情を説明しましょう。ぐぎゃの皆さんが言うには、太陽が昇る方向を左手に見て少しいけば良いそうですから、南の方ですね」
そうとさっさと歩き出してしまいました。
「おいおい、待て!」
ラヴィーさんも慌てて追いかけます。あとには期待に満ちた(多分)視線で見送るぐぎゃの皆さんが残されました。
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