第40話 和解
「なぁにぃ⁉︎
「私が
「あ…お、おい…そんなこと言うな!お前は珠央と結婚するんだ!そうだろ?」
「取り乱しちゃってごめんなさいパパ。私は大丈夫だから、もう寝よう?」
「…………」
夏帆は今度こそ大人しく引き下がった。
それどころか夏帆はしおらしく、珠央に謝罪をする。
「…夏帆さん」
「…ドーナツ、ごめんね。明日買い戻すから、それで許してちょうだい」
「いや、食べたからいい」
「食べたの⁉︎床に落ちたのに⁉︎」
「
「響と⁉︎」
「お腹壊したら夏帆さんのせいだから」
「ちょっとそれ酷くない⁉︎…ふふ…はははっ!」
「お、おい…いいのか夏帆…」
「いいって言ってるでしょ!珠央!
「え、お、おう…」
珠央と龍亮は家に戻り、酒を飲み談笑する。
龍亮の想いを聞けただけでも珠央にとって大きな意味があっただろう。
「しかし女ってのは切替が早えなあ」
「…親父、俺酒飲めねぇんだけど」
「バーカ。高校生なら酒くらいみんな飲んでるわ。それよりどうだ、恋人の一人や二人出来たのか?」
「…なんで、俺の味方してくれたんだ?組の存続が怪しくなるってのに」
「あ?決まってんだろ、息子がそうしたいっつったらそうさせんのが親の務めよ」
「…
「お前が心配することじゃねえよ。夏帆が割り切って大人になったんだ。
「…そっか」
「珠央。お前好きな女いるんだってな」
「は⁉︎いねえよそんなの」
「そのお嬢の為にもお前はこの世界に居続けるべきじゃねえ。代わりなんていくらでもいる。だからお前にはいい学校行ってもらってんだろうが、わかんねえか?」
「おい…なんだよそれ…ふざけんな!俺は
「ふざけんなはこっちの台詞だ。惚れた女を幸せに出来ねえなら死にやがれ」
「…っ」
「夏帆に全部聞いたぞ。お嬢を巻き込まねえように自分を犠牲にしたってな」
「それは………そうするしかないだろ」
「お嬢の為にもこんなきな臭い世界にいつまでも浸かってる必要はねえ。ヤクザの息子ってだけで苦労かけたな。悪いな、珠央」
「親父…最初っから俺に継がせる気なんてなかったのか」
「どうだかな。…ほら飲みやがれ。一緒に飲まなきゃ酒が不味ぃ」
「ったく…なんだよそれ」
珠央は吹っ切れたのか、龍亮に注いでもらった日本酒を一口呑み込んだ。
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