第29話 天罰

 昨日は真慧まことくんに依岡よりおかくんの話を聞いてしまった。

 本人から聞いたわけではないし、内容も内容で、なんだかいけないことを聞いてしまったような感じです。

 少し依岡くんに会うのが気まずい。


 通学路で弥子やこに出会う。


「おはよー憂希美ゆきみ

「あ、弥子…おはよ」

「どしたの、元気ないね?」

「あー、うん…」

「あっ、たまちゃんたちいたよ?おーい!珠ちゃーん!もんちゃーん!」

「えっ⁉︎ちょ、ま…」


 こんな状態で依岡くんと話せないよ⁉︎


「おお、おはよー中谷なかたにさん、白澤さん」

「珠ちゃん。憂希美が元気ないんだけど喧嘩でもした?」

「なんで俺のせいになんだよ」


 弥子の冗談に依岡くんも普通に受け答えしてるように見えるけど…なんだかいつもより元気ない…?


「依岡くん、なんかあった?」


 私が問いかけると、弥子と倭田くんは不思議そうな顔をしていた。


「え?珠央なんかあったの?」

「…まあ、家でちょっと」


 やっぱり。私にはわかった。


「へ〜全然わかんなかった。珠ちゃん顔に出ないから。大丈夫?」

「…うーん。正直、キツい」

「「え⁉︎」」

「…っ」


 依岡くんが弱音を吐くなんて…。


「依岡くん…家のことって…帰った方がいいんじゃ…?」

「別にいいよ。気分転換になるし」

「大事なことなんじゃ…」

「いいよ。疲れるし」

「でも…」

「関係ないだろ」

「…っ」


 しまった…踏み込みすぎた。


「はぁ?珠ちゃん。そんなはっきり言わなくてもよくない?憂希美は心配してくれてんだよ?」

「…わかったよ。帰りゃいいんだろ」


 そういうと依岡くんが引き返していく。

 それを倭田くんが追いかけて行った。


「おい珠央!」


 私は余計なことをしてしまった…。


「なんなのアイツ!憂希美、気にする事ないって」

「……」



「やっぱ変だぜお前。何があったんだよ」

「変って何が?」

「白澤さんたちにだよ。当たり強くねえか?」

「……」

「お前なあ…白澤さん傷付けんなよ?」

「……」

「おーい携帯いじんなー無視すんなー」

「……紋ちゃん、先生には風邪で休むって言っといて」

「おい珠ちゃん!マジで行かねえのか?おい!行っちまいやがった…」



 依岡くんは登校する前に早退してしまった。

 きっと私に、神様が天罰を下したんだ。

 本人の聞かれたくないような情報を、他の人てで聞いたりしたから。

 私だって知らなかったらこんなにしつこくしなかっただろう。

 依岡くんに嫌われるようなことをしてしまった。

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