第28話 聞いちゃいけない話だったかも
「ただいま」
「…おう珠央」
「戻ってたんだ」
「ああ。ちょっと一仕事あってな。どうだ珠央、学校は」
「…別にフツー」
「なんだ、せっかく通わせてやってんのに、色恋の一つや二つもねえのか」
「…ないよ。親父こそなんでいるの?」
どうやら珠央の父親のようだ。
「だぁ仕事だっつってんだろ。そうだ、
「…あっそう」
「珠央、お前に会いたがってたぞ。向こうに顔見せて来たらどうだ」
「勉強するから」
「まあそう言うな。久しぶりだろ。顔だけでも見せてこい」
「…わかったよ」
珠央が向かったのはとある屋敷のような家だった。
門をくぐると着物を着た渋い年配の男が立っていた。
「あ、珠央さん!ご無沙汰してます」
「だからいいって。こんなガキに敬語使わなくても」
「そうはいきませんよ、
そうして男が連れてきたのは二十代前半から半ばくらいに見える女性だった。
「珠央!久しぶり、元気にしてた?」
「一応挨拶だけしに来た。もうアンタに用は無くなった」
「そう言わずに上がってちょうだいよ。積もる話もあるわ」
「いい。
「どうしてよぉ。私は珠央とお話がしたいわ」
「俺はもうアンタとそういう関係じゃない。俺がアンタに会いに来たのはアンタが天翔さんの娘だからだ。そうでもなきゃ関わってない」
「寂しいこと言わないでちょうだい。私はまだあなたのことが好きなのに」
「…俺とアンタが一緒にならなくたって
「パパはそう思ってないわ。龍亮さんもね」
「帰る」
「パパに会わないの?」
「日を改める。アンタがいない時に」
「どうしてそんな風になってしまったの?」
「誰のせいだと」
「そう…私のせいだと言いたいのね」
「そうだよ」
「「……」」
「…またね、珠央。いつでも待ってるわ」
「……」
驚きの連続で、知らないことばかりだ。
「ごめん、話の途中なんだけどそろそろ行かないと」
「あ、はいっ…こんな時間まですみません」
「んーん、俺が誘ったし」
店を出ると
「あ、最後に。もし今後珠央に会うんなら夏帆さんって人に気をつけてね」
「夏帆さん?」
「ごめん、ちゃんと話したいんだけど今日は急いでるからこれで!」
「う、うん…ありがとう、ございました」
真慧くんは足早に帰っていく。
"夏帆さん"…一体どんな人なんだろう。
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