第六章 知らないことばかりだ

第27話 悪魔との契約

 私は学校の帰り道、一人で帰っていた。

 するとどこかで会ったことがあるような、男の子がいた。

 確か…依岡よりおかくんの友達(?)の子だ。

 まさかまた会えるなんて。


「あ、憂希美ゆきみちゃんだ」

「…能川のがわくん?」

真慧まことでいいよ。今日は珠央たまお一緒じゃないの?」

「あの日は私が無理やり誘ったから…」

「へぇ。好きなんだ。珠央のこと」

「なな、な⁉︎」

「いいなぁこんな可愛い子に好かれて。あ、そうだ。時間あったらちょっとお茶しない?珠央の話聞かせてあげるよ」

「えっ…依岡くんの…」


 依岡くん以外から依岡くんのことを聞いてしまってもいいのか⁉︎

 で、も、友達ならではのエピソードとかも聞けそうだし…いやいやダメだ!悪魔がささやいている!

 真慧くんだってただの顔見知りだし簡単についていったら…。


「アイツ中学の頃女装させられててさぁ。写真あるんだけど」

「是非見せてください」


―――


「うわぁぁ〜依岡くんかんわいぃぃ〜…」

「アイツ顔はいいからな。せっかくだし送ってあげるよ」

「い、いいんですか⁉︎こんな…お宝…」

「いいよいいよ。減るもんじゃないし」


 ごめんなさい依岡くん。私は悪魔に魂を売ってしまいました…。

 ホーム画面候補がまた増えた。


「んで本題。あいつの話なんだけど、俺基本何でも知ってるからさ。何聞きたい?」

「えっ…うーん…」


 聞きたいこと…今一番に思い浮かんだのは家のことかな。

 家業を継ぐって言ってたけど、教えてくれなかった。

 でも聞いちゃっていいのかな…。


「…アイツの親父のこと?」

「えっ」

「やっぱりな。アイツが唯一喋んないことなんてそれくらいだ」

「でも…聞いちゃっていいのかなって今悩んでます…」

「うーん。まぁ、知るだけ知っといてもいいんじゃないかな?珠央に怒られたら俺のせいにしてもらって構わないし」

「そんなにすごいんですか?お父さんのお仕事…」

「うん。珠央の親父の仕事は」


 ここまで来たらもう引き返せない。

 依岡くんには悪い、けど…私も気になる。

 依岡くんが抱えている事情は、一体…。


蒼賛そうさん連合会の会長だね」

「…そうさん?」

「簡単に言うと暴力団。ヤクザだよ」

「…えっ」

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