第26話 からかわないで!

 土曜日に依岡よりおかくんとお出かけ出来たことが夢みたいだったけどあれは現実に起きたこと!

 学校に行くのも、ルンルンです。


 いつメンの弥子やこがそんな私を見てニヤニヤしながら声をかけてきた。


憂希美ゆきみぃ、デートどうだったのよぉ」


 私はお出かけ出来ることが嬉しすぎて乙寧おとねと弥子に相談をしていた。

 おかげでテンパらないで、依岡くんにも"楽しい"と言わせることが出来た。この二人は私の救世主なのです。


「えへぇ…聞く?聞いちゃう?」

「別にいいや」

「なんでよ⁉︎聞いてよ⁉︎」

「聞かなくてもわかるでしょそんなヘラヘラしてたら」

「わかっちゃうか〜えへへへ…楽しかったぁ…」

「幸せそうで何よりだわ」



 教室に着くと乙寧が見えて、そこに向かう途中に依岡くんもいて、目で追ってしまう。

 挨拶、した方が、いい、よね?


 依岡くんと一緒にいた倭田わだくんが私に気付いて依岡くんの肩を叩いていた。


「あ、おい、たまちゃん」

「ん。あ、おはよ白澤しらさわ

「!…お、おはよっ!」


 弥子が面白半分に依岡くんに質問をする。


「珠ちゃん〜アンタ憂希美とデートしたのぉ?」

「弥子⁉︎」

「ん、まあ。どうなんだろうな?白澤」


 私に聞くの⁉︎


「え⁉︎どどどどどうなんでしょう⁉︎」


 倭田くんも興味深そうに問いかけてくる。


「あれ?二人とも一緒に出かけたの?いつの間にそんな仲良くなってたんだ。」


 倭田くんにも知られてしまったし…!

 弥子は余計なこと言うし…!

 依岡くんも否定しないし…!


「わ、私が無理やり誘ったから…依岡くんは付き合ってくれただけで!」

「男女二人ならデートでいいでしょ。片想いだけど」

「なになに?白澤さん珠ちゃんのこと好きなの?」

「モウヤメテ‼︎」


 私が依岡くんのことを好きだというのはなんとなくみんなに知られてしまっているようで、私は恥ずかしい。

 散々いじられて乙寧の席へ向かう。


「なんか動きが騒がしかったけど何話してたの?てか顔赤」

「べ!別に…」

「乙寧ぇ。憂希美と珠ちゃんさっさとくっ付けばいいと思うんだけど」

「それは同意である」

「あ、あのねぇ…!そんな簡単に言わないでよね?た、確かに私は…その…好き…だけど!向こうの気持ちも考えないとダメでしょ?」

「向こうはその気ないわけ?」

「…えっと、私のこと、あんまり知らないから、お互いを知るために出かけたって感じなんだよね」

「まわりくどいな」

「私も!依岡くんのこと知りたかったし…結果的には良かったかな〜って…」

「さっさと一発ヤっちゃえばいいのに」

「⁉︎」

「弥子。憂希美にはまだ早いんじゃないかしら」

「お子ちゃまだものね。胸デカいくせに」

「ちょっと二人してバカにしないで‼︎」

「お?」

「どうする憂希美?家にでも誘うのか?」

「………無理っ」



「珠ちゃんは白澤さんどうなの?」

「ん。どうって?」

「付き合う気とかないの?」

「……」

「どうなんだよー」

「…ないかな」

「えぇっマジ?なんでよ」

「なんでって………あんな子、俺にはもったいねえだろ」

「はぁ?なにそれ。白澤さんはお前がいいって言ってんだぜ?」

「恋愛とか出来ないよ俺には。だってもんちゃん、知ってんでしょ?俺の家のこと」

「それは…。でもよー…」

「恋愛はいーや」

「もったいねー…あんな可愛い子滅多にいないぜ?お前ホモか?」

「は?ブチころすよ?」

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