第21話 勇気を一番出した日かもしれない

「うま」


 そ、そうだ、早く渡さないと。

 私の方がもたない!


「あの‼︎」

「ん」

「…これ」

「………開けていいの?」

「…どうぞ」


 私今、人生の中で一番怖い。

 どんな反応するのかな。

 喜ぶかな。

 驚くかな。

 引くかな⁉︎


「…!ピアスじゃん」

「いつも付けてるから…どうかなって」

白澤しらさわが選んだの?」

「…うん」

「そっか。ありがとう」

「!…うん!」


 あ、笑ってる。

 喜んでくれてる…?


「今付けていい?」

「え?い、いいけど」


 人がピアスつけてる瞬間、初めて見る。

 依岡よりおかくん、やっぱりカッコいいな。

 お顔が綺麗…。


「どう?」

「似合う!すごい似合ってる‼︎」

「ちょっと写真撮ってよ」

「えっ?写真?」


 私の携帯で撮るの⁉︎

 依岡くんのピン写真⁉︎⁉︎


「と、撮ります………」

「うん」

「……」


 画面越しなのにちゃんと見れない…‼︎

 あっ!依岡くんちゃっかりピースしてる…!

 カワイイ!

 と、撮らせていただきます………。

 あぁ…家宝にしよう…。


「どれどれ」

「!」


 近っ…⁉︎


「…!ごめん」

「ううん⁉︎だ、大丈夫…」


 ドキドキしっぱなしで死にそう。


「おっいいじゃん。送っといて」

「うん…!」

「意外だったわ。白澤がこんなんくれるなんて」

「いっぱい迷ったんだからね…」

「めっちゃ嬉しい。本当にありがとう」


 素直に喜ばれると…こっちまで嬉しい。


「あのっ」

「ん」

「…お返しは、終わっちゃったけど、これからも会ってくれますか…?」

「………白澤」

「………はい」

「俺のこと好きなの?」

「っ⁉︎」

「……」


「………多分。

………はい。多分。

………………はい」


 顔見れません。

 ゴメンナサイ。

 どう反応したら良いかわからないよね⁉︎

 でも顔あげれないごめんなさい…。


「………あー。…したら一回、遊びにでもいく?」

「え?」

「俺白澤のことあんま知らないし」

「…そ、だね?」

「どういうのが好きなの?行きたいとことかある?」

「な、なんだろう…」


 依岡くんと行きたいところ?

 ていうかこれはデート…?



 それから私たちは二人で出掛ける約束をして帰ることにした。


「ピアスありがとう。大事にする」

「どういたしまして!頑張って選んだ甲斐があったよ」

「次の土曜日、十時でいいんだよね」

「うんっ。赤輪あかわ駅前!」

「オーケー。おやすみ」

「おやすみなさいっ」


「……」


 浮かれてる場合じゃない。

 これで依岡くんに気に入られなかったら…。


『白澤。クソつまんねえな』


 泣きそう。

 想像しただけで泣きそう。

 何で私は自信が持てないんだろう。

 モデルの仕事したら、少しは自信が付くと思ったんだけどな。

 恋も仕事も…頑張らないと。

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