第19話 彼女気分ですみません

乙寧おとね〜〜」

『あんた急に電話かけるのやめてよもう〜。何?』

「お返し、考えたんだけど…」

『うん』

「あの、依岡よりおかくん、ピアス、開けてたから…どうかなって」

『ピアス〜〜⁉︎はああ〜〜⁉︎彼女か‼︎もう彼女気分かコラ‼︎』

「だよね重いよね⁉︎もうダメだ乙寧〜〜ピアスもらって〜〜‼︎⁉︎」

『あたし開けてないし!もう買ったの⁉︎』

「今さっき…」

『もう買っちゃったもんはしょうがない。渡そ?』

「無理だよ〜〜もう捨てる〜〜」

『バカ!このユキミ大福!せっかく勇気出して買ったのにやめなさい!』

「うぅ…」

『…きっと受け取ってくれるよ』

「……」

『泣くな泣くな!もー…』

「泣いでない」

『偉い。じゃあもうひと頑張りだ。明日放課後呼び出そう』

「でも〜〜…」

『連絡先この前交換したでしょ!今から誘いなさい、じゃないと絶交。いいわね?』

「乙寧?乙寧??…切れたしもう〜〜…」


 でもそうだ、乙寧の言う通り、せっかく勇気出して買ったんだもん。

 渡さないと。

 それにお礼出来てない。


「…よし」


―――


『…もしもし?』

「こ、こんばんは…白澤しらさわです…」

『うん。知ってるけど。どしたの?』

「明日の放課後、時間ありますか」

『なんで敬語なの。別にいいけど。まさかお返し?』

「あっ…うん…」

『じゃあまたドーナツ食い行くか』

「えっ?」

『二人のがいいでしょ。白澤アイツら苦手そうだし』


 渡すのも二人の方が好都合…!


「うん!そ、そうする!』

『うん。じゃあまた明日ね』

「また明日っ」


「………はぁ〜〜…」


 良かった。来てくれる。

 でも渡すのか…。

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