第8話 勇敢なヒーロー

「校舎裏に女子生徒連れてくとか、センパイたち、レイプでもする気っすか?」

「なんだァてめ…どっから湧いてきやがった」


 すると上級生の一人が顔を青ざめて取り乱す。


「…!こ、こいつは⁉︎おいおいおい宝塚たからづか!こいつはやべえよ!」

「あン⁉︎」

羽咲田はさきだ中のだよ!間違いねえ」


 知ってる。

 同じクラスの依岡よりおかくん…。

 助けてくれてる…?


「誰だよそいつぁよ…おいオタマだかなんだか知んねえが生意気なんじゃねえか?オイ‼︎」

「おいやめろ宝塚!コイツの親父ヤクザだって噂があんだ!」


 凄む上級生たちを物ともせず、私の手を掴んで去ろうとする。


「いこ」

「う、うん…」


 しかしそう簡単に行くわけもなく、宝塚と呼ばれる男に行手を阻まれる。


「おい無視すんなぁ!テメェこの不意打ち野郎‼︎」

「背中ガラ空きにしてる方が悪いっすよ。それともなんですか、不意打ちじゃなきゃ負けないって言うんすか?」

「そうともお前みたいなクソチビに誰が負けっかよ」

「…は?」


 依岡くん怒ってる⁉︎

 落ち着いて‼︎喧嘩はやめて⁉︎


「立てなくなっても知らないっすよ?」


 そう言うと依岡くんは上級生たちを吹き飛ばした。


「ヘブゥッ!」

「宝塚ぁ!」


 そしてボロボロになるまで………

 って!止めないと⁉︎


「よ、依岡くん!もう大丈夫だから!やめよう⁉︎」

「クッソォ!覚えてろよオタマ!」


 すごすぎて、何が起こったかわからなかったけど、依岡くんが上級生たちを追い払って、私を助けてくれたことだけはわかった。

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