第6話 専属モデル、とは

 それからというものもう何度も撮影をこなし、期間で言ったら二ヶ月ほどやっただろう。

 なんだかモデルの仕事も楽しくて、やりがいがあると感じてきたこのごろ。


 赤輪あかわプロモーションの事務所で槙野まきのさんと撮影の打ち合わせをしていると、タバコを蒸かしているグラサンの馬原まはらさんに声をかけられた。


「専属モデルになる気はある?」

「…専属モデルってなんですか?」

「要はうちの事務所に所属して仕事をするってこと。今はアルバイト感覚でやってると思うけど、専属モデルは学業と両立してこなさなきゃいけない。大変だとは思うけど、憂希美ちゃんは向いてると俺は思うよ」


 専属モデル…つまりこれを仕事にするってこと。


「無理強いはしないけど、僕としても君のような逸材は手放したくないからね」

「いつざい…」

「今は…二年生か。来年受験生だし大変だろうけど、考えといてよ。高校生っていうブランドもあるしな」

「私も憂希美ゆきみちゃんなら間違いなくトップクラスのモデルになれると思うわ」



 そうは言われたけど、私はこの仕事でやっていけるのだろうか。

 考えても埒があかないけど、これからはしっかり自分で考えて動かなきゃいけない。

 お姉ちゃんにも迷惑かけられないし。


「専属モデルかぁ…」

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