第5話 まだスタート地点
時は流れてオーディション当日。
かなり大人数の女の子達が一つの部屋に集められた。
全員、モデルをやりたくて参加している子たちなんだ。みんな可愛い。
オーディションは簡素なもので、一人ずつカメラの前に立ち、カメラマンの合図でポーズを取り撮影するというものだった。
意外とあっさり撮影は終了し、家に帰された。
「うぅ〜ん!みんな最高ね!みんな採用したいくらい」
「よく言うよ。数え切れないほど蹴落としてるくせに」
「だって仕事なんだもの仕方ないじゃない?」
「
「そりゃあもう。確定枠よ」
「
「私がスカウトしたんだもの、当たり前でしょう?」
「やれやれ」
オーディションも無事終わり、あとは選考待ち。
すごく緊張して、何も覚えてない。
「私大丈夫だったかな…」
でも
「うん、大丈夫!大丈夫大丈夫!」
一週間ほど経ち
慌てて電話に出る。
「も、もしもし!」
『憂希美ちゃんこんばんは。今大丈夫かしら?』
「槙野さんっ…はい」
『合格よ』
「…は、はい…え?」
『合格よ』
「本当ですか⁉︎」
うそ、本当に合格しちゃうなんて…。
『でも憂希美ちゃん。安心するのはまだ早いわ。オーディションに合格したからといってモデルとしての活躍が保証されているわけではないのよ』
「と、言いますと…?」
『これはただの入り口に過ぎないの。あなたの頑張り次第ってことよ。実力社会だから当たり前だけどね』
「が、頑張ります…」
『ところで、予定を聞きたいんだけどいいかしら?』
「はい!大丈夫です!」
『まず掲載予定の雑誌は"
「わ、わかりました」
NØMELANCHO。
超有名なファッションデザイナー
初刊が発売されたのが半年くらい前とわりかし新しい雑誌なのだが、個性的なセクションやレイアウトに多くの若者が評価したんだとか。
ノーメラは今や誰もが知ってる有名なファッション誌。そんなところに載るの…?
『いきなりだけど、来週の土曜日はどうかしら?』
「大丈夫です」
『場所も追って連絡するわ。現時点で何か気になることは?』
「大丈夫です」
『じゃあ来週の土曜日、よろしくね』
本当に読者モデルになったんだ。
いや、まだ気を抜いちゃいけない。ここからが大事なんだから。うん。
電話を切るとお姉ちゃんが後ろから迫る。
「ゆーきみ」
「わっ!お姉ちゃん⁉︎」
「どうだった〜赤プロは」
「ご、合格しました…」
「マジ⁉︎うひょ〜〜流石憂希美!才能だよ才能!」
「でもまだ、撮影してないから…どうなるかは私次第、だから…!」
「へぇ〜憂希美がそんなことを言えるように…お姉ちゃん感動したよ」
「私だっていつまでも子供じゃないんです!」
「頼もしくなっちゃって」
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