第4話 覚悟はできた、多分

 私は私なりに考えて決心を固め、オーディションを受けることに決めた。

 書類は…大丈夫、忘れてない。


「こんにちは」


 赤輪あかわプロモーションの事務所に入るとグラサンの馬原まはらさんがいた。


「君は…えーっと、憂希美ゆきみちゃん。制服似合うね。流石現役JK」


 いきなりセクハラ。


「一応、受けてみようかなと思いまして」

「本当かい?こいつはありがてぇ!ちょっと待ってな、奈緒なおのやつ呼ぶわ!」


 そういうと馬原さんは電話をかけた。


「おい奈緒すぐ戻ってこい、朗報がある!………またスカウトしてんのか!やめろって言ってんだろ!………いいから早く来い………そんなの後だ!」

「あ、あの…」

「ん」

「私でもなれるんです、か?」

「憂希美ちゃん」

「…?はい」

「何千人と見てきた奈緒の審美眼しんびがんは間違ってない。君は自信を持ってオーディションに臨んでくれればいい」

「…自信」

「自分がモデルに相応しい、自分が一番だって気持ちじゃないとすぐ他の有望な子たちに抜かされてしまうよ。君はトップクラスのモデルを目指すんだ」


 この世界はそんなに甘くはない。

 馬原さんはそう教えてくれてる。


 しばらくすると槙野まきのさんが戻ってきた。


「戻ったわ。あら、憂希美ちゃん、久しぶりね」

「槙野さん、こんにちは」

「まさか朗報って?」

「そうだ。オーディション受けてくれるってさ」

「憂希美ちゃん‼︎嬉しいわ、ありがとう!」

「いえこちらこそ…槙野さんにスカウトされてなければ知らなかった世界だったので」

「やると決めたのは憂希美ちゃんよ。本当にありがとう。書類は書いたのかしら?」

「はい…持ってきました」

「では頂戴するわね。ちょっと待ってて」


 そういうと槙野さんはテキパキと説明用の書類をまとめて渡してくれた。


「これがオーディションの日程よ。注意事項、細かいけどよく読んでおいてちょうだい?」

「はい、ありがとうございます」

「じゃあオーディションでまた会いましょう。可愛くしてくるのよ?」


 こうして来たるオーディションに備えることにした。

 緊張で、食事も喉を通りません。

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