第3話 大女優なんて大袈裟な

 家に着き玄関で靴を脱ぐも、まだ夢中になって考えている私にずっと話しかけてくるこの人は…私のお姉ちゃんだ。


憂希美ゆきみ。おかえり」

「モデルってそもそも何するんだろう。撮られるだけ?お金とかどのくらいもらえるのかな?」

「憂希美?おーい」

「表紙とか載れるのかな。いやいきなりそんな…!」

「無視すんな」

「いたっ!あ、お姉ちゃん。ただいま」

「何夢中になってんのよブツブツ言ってさ」


 白澤舞羽麗しらさわまはれ

 私の二つ年上のお姉ちゃん。

 なんでも器用にこなすもので、いつも頼っちゃう。


「あ…えっと、なんか、スカウト?されて」

「は?スカウト?」


―――


「えー⁉︎モデル⁉︎やっぱりなぁ!憂希美は絶対芸能界に行くと思ったよ!髪伸ばさせたのもメイクも教えたのも吉と出たな!」

「まま待って!まだ行くと決めたわけじゃ…」

「何言ってんのよ憂希美!こんなチャンス滅多にないよ」

「そうだけど…」

「で、どこなの?芸能事務所は」

「えっと、待って、名刺もらってるから」


 さっきもらった槙野まきのさんの名刺を見せた。

 お姉ちゃんはとても驚いた表情を見せる。


「…あ、あ、赤プロ⁉︎」

「有名なの?」

「バッカアンタ、そりゃ有名よ!ここは歌手とかアイドルが主流だったんだけど、最近はモデルとかタレントに力入れてんのよ。いやこれはアタリよ憂希美!」

「そうなんだ…」

「もし上手くいったら…アンタ大女優よ!」

「だ、だいじょゆう…」

「よし決めた。やるわよ」

「なんでお姉ちゃんが決めるの!」

「何よアンタいっつもあたしの言うことちゃんと聞くくせにこういう時だけ」

「だって、わかんなくて…」

「…ーー。まあそうね。決めるのは憂希美だから。でもあたしは絶対いいと思う!憂希美なら大丈夫」

「…ありがとうお姉ちゃん」


 一応調べてみたらお姉ちゃんが言っていた通り、間違いなく有名で実力のある会社だ。

 別にやりたいこともなかった私だったけど、これだったら私の魅力を引き出せるのかな。

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