第16話 分量はしっかり量りましょう


「ごちそうさまー」


 今日はまだぎりぎり午前中と言える時間に起きれました。

朝?ご飯には卵かけご飯を食べました。11時起床だから朝起きれたと言っていいよね。いいよ、良い!俺が許す。

 使ったのはもちろんプリンアラモードのために採取してきた王鶏の卵。

 贅沢に卵黄だけ取ってレンチンしたご飯にぶっかけてやりました。ちなみに自分は卵とご飯を混ぜてから醤油をかける派、醬油をかけてから混ぜるタイプの人もいるよね。

 黄身だけだったからかとても濃厚で無茶苦茶美味しかった。卵の味が強すぎて醤油が負けてたぐらいだし。

 お菓子にしか使ってなかったけど、おかずとかに使っても絶対美味しいと思う。ゆで卵……はでかすぎる気がするけど、卵焼きとかならどうだろう今度作ってみよう。


 ちなみに、聖は今日はバイト。

 今日は夏服の撮影だってさ。読モだか専属だかなんだかわからないがモデルやっているのすごい。我が妹ながら誇らしい。ま、聖の可愛さを考えたら当然なんだけどね。

 服とかわかんないけどすごいよね。流行とかなんとかさ。暦よりも早く次の季節に移っているし。ついていけないわ。着れればいい、というか適当にしてたら聖が選んでくれるから尚良し!

 一回、聖が載ってる雑誌を買おうと思ったんだけど見つからず本人にどれに載っているのか聞いたらキレられた。キモイ、バカあほと暴言の嵐だった。そんなに俺に見られるの嫌だったのかなぁ。妹の晴れ姿を見れず兄は非常に残念である。ちなみに、あの時の聖からの暴言は俺的妹に言われて悲しかったことのワースト3には入っている。


 なんか最近、聖も人気出てきたかなんかで表紙がどうとかこの前言ってたんだよなぁ。今度たまたま本屋に行ったら、たまたま雑誌を手に取って、たまたま聖を見つけて、たまたま買ってしまうかもしれないけどしょうがないよね。

 うん、しょうがない。たまたまだもん。


「さて、現実逃避はこれくらいにして……どうするよあれ」


 現在俺の頭を悩ましている物は冷蔵庫にある王鶏の白身である。

 普通の卵ならまだしも、あれでかいからな。普通の卵四個分の白身の塊とかどうするよ。巨大な目玉無し焼きでも作るかぁ、ははは……。

 まじでどうするよ。





 はい、調べてみました。

 卵の白身で何ができるのか。料理とかもいろいろ出てきたんだけど目を引いたのはお菓子系。メレンゲクッキーとかラングドシャとか。

 てことで、選ばれたのはラングドシャ。

 おどれはクッキーとどう違うんじゃい!ってことでちゃちゃっとネットで調べてみる。ふむふむ、ざっくり言うと卵黄と卵白の違いらしい。卵白を焼く分クッキーのがやや硬めになり、ラングドシャの方がやわめというか解けるような感じになるらしい。ラングドシャは猫の舌という意味なんだと。今はいろんな形のものがあるけど最初は細長く焼いていたからそれが猫の舌に見えるからってさ。

へー……。


「……とりあえず作ってみるか」


 お菓子を作るというとめんどくさそうとか大変というイメージが湧きがちだが案外そうでもない。たしかに分量を量ったり用意したりは大変だけど、パティシエが作るような立派な物ではなくてちょっと一口つまむようなものはネットのレシピ見ながら作れば案外作れるものだ。文明の暦ばんざーい!


 つまりは、今回のラングドシャは案外簡単な部類というわけだ。

 用意するのはこちら!卵白、バター(できれば無塩)、薄力粉、砂糖またはグラニュー糖。量はシンプルに卵白と同じ分だけ。今回は王鶏の卵一個分なので普通の卵大体四個分の卵白です。Lサイズの卵一個の卵白が約40gなので大体160gくらいかな。

 バターはまず早めに冷蔵庫から出して室温に戻して柔らかくしておく……けどそんなことはしてないので電子レンジで軽く温めちゃいまーす。ほい、チンッとな。

 柔らかくなったバターにダンジョン産の砂糖を入れて混ぜ合わせていく。お菓子だから本当はグラニュー糖が良いんだろうけどそこは万能なダンジョン産でごまか……代わり……いや、アレンジしていく。

 ここでバターも柔らかいとはいえ固形だし電動のやつ使えばいいけど、探索者の身体能力に物言わせてすり混ぜていく。ある程度柔らかくなっていったら、卵白を数回に分けながら混ぜ合わせていく。加えて混ぜて、ふんわりなったらまた加えてと……。


 手が疲れました。

 あとは薄力粉を加えてゴムベラとかで全体が固まるように混ぜていく感じ。このタイミングでバニラエッセンスとか加えたい人は入れたらいいらしい、好みだね。てことで、プリンアラモード作った時の余りのバニラビーンズ入れちゃえ。

 できたラングドシャの素をしぼり袋に入れてオーブンの天板に絞っていく。あ、もちろんクッキングシートの上にね。こいつすごいよね、くっつかないしオーブンとかでも燃えないし便利だー。

 あとはあらかじめ180℃に温めといたオーブンで焼くだけと大体10分ぐらいか。ま、でも王鶏の卵使ってるからどうなるか分からんし様子見しながらかなぁ。

 てことで、10分ほど片付け!



 はい、完成!

ザクザクじゃなくてサクサクにしたいから最後の数分は温度少し下げて、尚且つ5分ほど余熱を入れておいた。そろそろ冷めたんじゃないか。

 いいねぇ、良い色だ。きれいな色に食欲を誘う程よい焼き色と焦げ目。匂いはとても優しくほのかに甘い。


「いただきます」


 サクッと口の中で解けるように崩れていく。ザクザクなるような硬さではないものもしっかりとした歯ごたえがある。それでいて口の中はパサパサすることなく上品な優しい甘みで包まれる。

 これが幸せか……。


 でも、作りすぎたなこれどうするよ。誰だよ卵白四個分も作ったやつ。なんか普通に皿に山作れるぐらいあるって……。何枚あるんだよこれ。

 うちのオーブンでかくて良かったなぁ。ははは。

二回に分けて焼いてけどなっっ!!


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