第15話 至高のプリンアラモードを求めて②
「おにぃ、はーやーくー」
「はいはい、ちょっと待ってね」
昼を適当に家にある物で済ませた。テレビを見ながらウトウトしてたら聖が帰ってきて叩き起こされプリンアラモードを要求される。
お兄ちゃん気持ちよく昼寝するとこだったんですけど……。この眠たいけどぎりぎり起きてるふわふわしてる状態好きなんだよね。眠りにつく瞬間が幸せの瞬間だと思ってる。ちなみに、俺は将来布団と結婚する予定。
「おーにーいー、まーだー?」
「はいはーい」
「はいはいっか~い」
テンション高いなあいつ。
世の中色んな物があるものでプリンアラモード皿という不思議な物がある。不思議ではないか、でも態々それ用の皿があるのはすごいと思う。人の食への飽くなき探求心に感謝。
皿のど真ん中にプリンを乗せる。冷蔵庫で冷やしておいたプリン容器の周りをスプーンでなぞるようにして容器からはがしていく。崩れないように注意しながら乗せていく。プリンの上にホイップクリームをちょっと乗せてサクランボを飾る。一気にプリンアラモードっぽくなったな。なんかイメージ的にプリンの上にサクランボっていう固定概念あるよね。
プリンの横にもホイップクリームをそれっぽく飾っていく。クリーム着いたフルーツって当分の暴力って感じで最高だよね。甘党最高の瞬間って感じ。ホイップを彩るように四等分に切っておいた苺を飾っていく。三等分とかいう器用なことは俺には難しかったです。そして、後ろの方にメロンをドーン!この前食べた時のように皮から切り離して一口大に切っているから食べるのも楽ちん。このひと手間が食べるときの幸福度を大きく左右すると思う。
王鶏の卵で作った鮮やかな黄色のプリンに真っ白なホイップクリーム。そして、サクランボと苺の赤が映える!そして、後ろにはメロンのきれいなオレンジ色。完璧です!
あ、もちろん俺の分も合わせて二人分だよ?
「聖、できたよー」
「待ってましたー」
テレビを見ながらゴロゴロしていた聖がどたどたと走ってくる。
乙女がそんな足音立てるんじゃありません!まぁ、そんなところも可愛いからいいんだけどね。そっかー、そんなにお兄ちゃんの手作りプリンアラモード楽しみにしてたのかぁ、嬉しいな。作ることになった経緯は置いといて兄貴冥利に尽きるね、ほんとに。
だから、聖その何こいつニヤニヤしてんのっていう蔑んだ眼をやめなさい。お兄ちゃん泣いちゃうよ?
「せーの」
「「いただきまーす」」
まずは聖が一口食べるのを待つ。
おー、そんな足バタバタさせて喜ぶほど美味しいか。そうかそうか。兄妹そろって甘党だからスイーツよく食べるけど、手作りの中では今までで一番の反応だな。お、次の一口は苺か。美味いぞ……むっちゃ目見開くじゃん、そんなびっくりするほど美味しかったのか良かった。やっぱ態々めんどくさいダンジョンまでフルーツ取りに行った甲斐があった。自分の作ったものを美味しく食べてもらうのやっぱ嬉しいね。それが、最愛の妹となればなおさらだ。
さて、聖ばっか見てないで俺も食べようかね。そうしないとまたなんか小言いわれ……あ、こっち見た。
「何こっち見てニヤニヤしてんの、きしょい」
「……そこまで言わなくていいじゃん。お兄ちゃん泣いちゃうよ」
そんな俺を尻目に聖は勝手に泣いとけとさらに一口。あ、また笑ってる。良かった良かった。これで温泉饅頭味のアイスの怒りは収まっただろう。
さて、俺も食べるとしますかね。
まずはプリンを一口。うん……美味い。
王鶏の卵による芳醇な卵の旨味がシンプルながらも奥深い味わいとなっている。プリンは子供から大人までみんな好きなデザートなだけあって単純ながらも愛されるだけある美味しさだ。
そして、ホイップクリームも合わせて一口。ん――、さっっいこうだね。クリームの甘みがプリンのシンプルなうまみをさらに引き出してる。生クリームとホイップクリームを発明した奴は天才だな、まじで。世の中の甘党たちから崇拝されるべき存在だろまじで。
そして、これまたホイップクリームをつけた苺もいただく。ほのかな酸味と甘い果汁が口いっぱいに広がる。そして、クリームの甘さが苺の酸味と合わさって何とも言えないハーモニーを醸し出す。
次はプリン。そして、クリーム、苺。メロンも一口。
止まらん。まじで最高だ。
「ねぇ、おにぃ。飲み物欲しい」
「何が欲しい?」
「んー、何でもいい」
料理もそうだけどなんでもいいのが一番困るんだよなとぶつくさ言いながら飲み物を用意しに行く。適当にインスタントの紅茶でも入れるかとちゃっちゃと用意。
ちゃだけにね。
……。
「ほーい、まだあっついからな」
「ありがとー」
そしたら残り食べましょかと席に着く。
するとなんか目の前のプリンアラモードに違和感が。さっきまで食べてたのになんかおかしい。聖のと比べる。プリン、サクランボ……苺。クリームも食べられてない。
「……。おい、聖俺のメロ「ごちそうさまー!美味しかった、ありがとうおにぃ」
……解せぬ。
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