第30話

買い物に行くだけだったのに、なんでこういうことになるんだか。


「亮介!」


うわ、いるかさん…なんでいるんだ。無視しなくては。そのまま無言で立ち去ろう。


「ちょっとぉ!無視しないでよ」


肩を掴まれた。くそー、身長がそんなにないからな、俺。


「忙しいんですよ」


「もー!あの女とも付き合いたいってこと?ねー」


助けてくれ〜誰か〜


「いるかさん。なにしてるんですか?」


「いやだ。絵里ちゃんじゃないの」


うわー最悪!なんでいるんだよ。


「亮介くんとなんの話を?」


「なに?関係ないでしょ?」


やばい…慌ててその場を立ち去った。あの2人も揉めてるし。なんなんだよ…。俺を追いかけてはこなかった。


「お兄さん、暇?」


「え?」


誰だこの若い子。いきなり話しかけてきた。

絶対知り合いじゃない。


「私と遊ばない?」


ナンパ…?


「結構です」


なんでこんなに女に寄って来られるのかわからない!モテなくていいときに、モテたってしょうがない!はぁー早く家帰りたい。


帰る途中、安菜さんから電話が…


「亮介、まだ決まってない?」


「…はい」


「ミュージカルやってる劇団なんだけど、そこ受けてみない?」


「あの、安菜さん。なんで俺にそんな親切なんですか?」


「だって、亮介って劇団のこと以外できないから。礼儀もなってないし。で、受けるの?」


「…受けます」


「わかった。連絡しておく」


「…お忙しいのにすみません」


「大丈夫よ〜もうホテルに帰るだけ。待ってるのは、食事だけ。寂しい女でしょう?」


「えーと…」


「あなたが、そもそも殺人なんてしなければ…!」


「もう切ります」


なんなんだよ。意味わからな…

あー!あんな感じの会話を誰か聞いたんだ。

紛らわし!


そして、後日。安菜さんの紹介した劇団の面接を受けたら、すぐに受かった。はぁ、勘違い男な俺、ださ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

彼女がいるんだけど えいみ @fukuharaeimi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ