第29話
「おい、こいつを雇え」
「は…お前」
ライブハウス受付には、赤いメッシュの男がいた。どうやら勝手に俺を雇えと言ってるみたいだな。
「柊に似てる」
「はぁ?お前知らねぇのかよ!こいつは亮伍の弟の亮介だそ?」
「…え、まじかよ」
兄貴の知り合いのようだ。なんか、怒鳴られてる。
「亮介です、あー、たまにバンド見てました」
「まじか…お前なんでこんなとこで働きてーんだ?」
「仕事ないんで」
「じゃ、
えー、置いてかれた。
「…お前、柴田の言いなりなのか?」
「いや。心配してくれたんだと思います」
「…あっそう。で、金とか数えられんのかよ」
「はぁ、まぁ」
「ちゃんと返事しろや」
理不尽な人が多いな。
「はい」
「んじゃ、今日から働け」
「夜中までですよね」
「まぁな」
「あまり遅いと終電ないんで、終電までにして下さい」
「はぁ?てめーどこに住んでんだよ」
「近くないんですよ、ここから」
「ならやるな」
「いや…」
笑理が一人になるから実家に泊まるのもなぁ。笑理との時間がなくなってしまう。
「…はい。申し訳ないのですが、この仕事はやらないことにします」
「…柴田にはお前から話しとけよ」
「はい」
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