第5話

母親が母親であり、自分の置かれてるいる状況が特殊だったので、国民に全てが公開された。

代わりに母親がすべての権力を使って自分を守ってくれる法律が制定させ、

自分に向かって暴言を吐くもの、傷つけるものを罰するようになっている。

本当に前世の力はすごいもんだと

他人事のように思う。

代償として研究者たちから、モルモットのように検査されることにはなってしまったが、この世界で特殊な自分の状況的に仕方ない。

一定数、過去の前世の記憶に引っ張られてトラウマを抱えてしまう人たちがいる。

徐々に成長するごとにそれを受け入れられるようになっていくことがほとんどだが、稀にうまく取り込めず、現代の生活に入り込めないものや、犯罪を犯してしまう者もいる。

そんな人間たちにとって何の記憶もない自分が救世主になれる可能性があると研究者は言っていた。

クラスメートももちろん状況を知ってるので、構われたりすることはない。

普通の接し方である。それに仲良くしている人もちらほらいて、一番仲のいい友人は前世の記憶があいまいである。

しかも、彼の母親は典型的な教育者なので、色々彼に圧をかけてくる。

彼の記憶は曖昧だが、どこかの国王族のようで、

記憶を持たない自分よりも大層な前世なのだが、彼の母親の期待値という名の圧力はひどい。

押し潰されそうな彼はそれでも母の愛は伝わってるし、ただただ申し訳なさを感じていた。

とりあえず、自分の家に彼を連れていくことにした。

何かあれば、母親に相談すれば解決の糸口をくれる。

こんな母親だよりじゃ、マザコンと言われても仕方ないが、他によいアイディアも浮かばない。

彼も彼の母親もそれはそれは恐縮した。そのくらいうちの母親は特別だ。

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