第4話

うちの親は高レベルの覚醒者である。

母親は前世が王で、父親は同じ時代の王の側近だった。

母親は生まれながらにして、王の記憶をもっていた。

前世判定テストによって、すぐに未来を約束された。

国の中心を動かす政治家に抜擢された。

父親は母親に見つけられ、すぐに母の秘書になった。

それがうちの両親である。

トップクラスの両親から生まれた自分は

何の記憶も持たない人間だった。

年を重ねるごとに、不安ばかりが増えていく。

自分の両親と比べて自分の体たらくぶりが、辛すぎる。

それを幼いながらに母親に訴えた。

王の血というのは本当に偉大なものなのか、

うちの母親は今までにあった人間のなかで

一番男前だ。

「なぁ。お前は私とお父さんのこどもなのだから、特別なんだ。このお母さんの能力と天才的な頭脳とお父さんのお茶目さが受け継がれてるんだから。前世なんかどうだっていいんだ」

父親はどちらかというと慎重で繊細だが、母親にはお茶目に写ってるらしい。しかも、自分を擁護してくれたのか惚気られたのかよくわからない。

それから、何年経っても、前世の記憶は蘇らなかった。

他の人間がみんな心のなかに、

過去の自分が主張してるといっても、

自分だけが理解できなかった。

それは少し切なかった。

ただし、そんなセンチメンタルな気持ちを

国は放っておいてくれなかった。極秘に色々な検査をされて、やはり何の前世もないことが明らかになった。

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