第9話 後方腕組み厄介生徒会(side生徒会)
-side 生徒会-
「それで?ダンジョン探索中のジークハルトはどんな様子だった?」
とある学園の一室--生徒会室にて、ウィリアム、ヘンリー、エリーゼ、セバスチャンの4人が集まっていた。この4人はホワイトワーク学園の生徒会役員である。
「ダンジョン探索中にアクシデントでドラゴンからお姫様抱っこで、アリス守っていたましわ!」
「その後2人きりになった時、いい感じの雰囲気でした」
そう、さっきこの2人が昼食の時にエリーゼが捲し立てて去ったのはジークハルトとアリスの2人だけの空間を作るためで、完全に確信犯である。彼らは後方腕組み厄介であった。
「……ほう、ダンジョン探索中にドラゴンか、心当たりは?」
「たまたまみたいですわよ?エンシェントドラゴンが寝ていたようですわ」
「……本当にそう思うかい?」
「まさか!これも王国が仕組んだというのですか!?ですが、エンシェントドラゴンを呼び寄せるなど相当リスクを伴いますし下手をすれば国が滅びます。それにこの国でそんなことが出来る方なんていますの?」
「分からない、それが可能かどうかも。ただ、父上ならやりかねないと思っただけだ」
ウィリアムの父である国王は賢王として有名な人物だ。その頭脳を持ってすれば不可能ではないと判断された。
「まあそれに関して今はどうでも良いですわ!」
全然すぐにでも取り調べを進めるべき重要なことなんだけれどもな……と、ウィリアムは思ったがそれよりも重要なことがあるのかと思いエリーゼの話を聞く。
「それよりもあの2人の表情と言ったら!ハッピーハッピーハッピー!」
「なにかに感情乗っ取られてない?君」
「そ、そんな事ないですわ!チピチピチャパチャパドゥビドゥビ……」
エリーゼのあまりの浮かれ具合をジトーっとした目で見つめるウィリアム。見るに見かねたヘンリーがフォローをする。
「ま、まあ、乗っ取られても幸せならOKなんじゃないか?」
「ハア、全く……近頃はこの国、こんなお気楽な奴ばかりで風紀が乱れてる。そろそろ引き締めなきゃ」
そう言って、ウィリアムは殺気を放ちニヤリと口角を上げる。
「破壊衝動やめてね」
「あ?」
「な、なんでもない。なんでもないよ」
触らぬ神に祟りなしと察したヘンリーはそのまま厄介衝動を抑えきれていないエリーゼをさりげなくなだめる。
「さてと……、父上のことも重要だけどそれよりも今はもっと重要なことがあるよね!」
「……?」
そんな重要なことなんて直近であったか?と首をかしげヘンリーは聞き耳を立てる。
「そろそろパーティの時間だから行かなくちゃ⭐︎今回はどんな面白い反応が見れるんだろ〜♪」
「あっ」
エリーゼとセバスチャンもひどいが、ウィリアムにとって、この生徒会で間違いなく一番厄介なのはこの王子だろう。
この王子が良い音のなるおもちゃの楽器だと思っているのは明白だ。
「人外の心やめてね」
天使な顔をして悪魔のように綺麗に微笑む王子に対してヘンリーはボソッと呟く。
「あ?」
それに対して、当然その呟きを拾った王子。その姿は紛れもなく悪役のそれで人間やめてるのかもしれない。
その後ヘンリーは地獄の空気に震えながらパーティ開始を待つのであった。
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