ある部屋の朝

 三月末。


 早いところでは、桜がめる時期。


 そう、春や。


 あたしは、桜が好きや。桜の下では、みんな笑顔になるし、なんやウキウキする。


 それにやっぱり綺麗きれーや。


 そんなこんなで起き抜けでもとってもゴキゲンなウチは掛け布団を蹴っ飛ばし、ベランダに一直線。窓を開け放ち――


「うっしゃあ、今日もハッピーに生きよっ!!!」


 ご近所さんへ幸せのお裾分けをするのだった。


 とがめる同居人も隣人もーへんし、思う存分に叫んだった。あっはっはっは───……



「さぁむい。歯磨いたらコンポタ飲も」



 上下スウェットに三月の風はこたえる。ウチは窓を閉め、すごすごとキッチンへ。

 ケトルを準備して、洗面所へと向かうのだった。



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