蝙蝠傘と巨人の夫婦
舗装路のコンクリートを
黒々とした割れ目に赤や黄色の葉が積もっている様は噴火間近のマグマを蓄えた活火山のようで、それを見ていると
肩に
うひっ。
「他愛もない……」
「コラ、嫁そっちのけで遊ばんの」
すぐ横から
我が子に向けるような包容力のある笑顔に私はバツが悪そうに首を
「ヤ、すまない。なあ、
惚れた弱みというか、腐っていたところを引き上げてくれた恩もあるのだが、私は紫苑に頭が上がらないのだ。
おかしい。告白は紫苑の方から(情けない)だったし、私にゾッコンなのを隠すこともなく、そりゃもうデレデレだったのが────ッハ!?
「どないしたん? えらい鼻の下伸びてるけど」
傘を差してふんわりとこちらに微笑みかけている妻は当然ながら可愛らしく美しいのだが、如何せん〝圧〟がつよい。
「あ、ああ、いや、な? 昔の事をな? お、思い出してな?」
「んふふ♡」
圧。
「シ、紫苑?」
「もう。ウチが怒ってるみたいやん。ただ、関西弁でーへんようなったなぁて思ただけやで?
ま、あんたは釣った魚にエサをあげへんいけずな男やからな。結婚して一年で単身赴任するし。それにしても──」
もの言いたげに私の方を見やる妻に、「ど、どした?」
「ん? あー、格好だけ見たらジェントルマンやけど、
「すんません勘弁してください」
「んふふ、関西弁出たな?」
「───そらな」
愛しの妻に変態紳士呼ばわりされた日には関西弁も出るわ。
「ま、ウチは変態紳士なあんたとラブラブやし? 安心やな?」
「せ、せやな」
「なんや照れたん?
「あかん勝たれへん──」
雨空の下。
ニマニマと笑い、肩ドンしてくる妻に、他愛もないとか巨人プレイ
.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます