短篇『─SOUND ONLY─』

南 ヱ斗

『─SOUND ONLY─』

「                                         」






 叫んでる声が聞こえた。





 声に乗せられた感情は理解わからない。




「                               」






 でも、とても大きな声。




 青く高く透き抜けた大空を割って、天国にまで届きそうな程に大きな声。



「                        」



 赫黒く焼けた大地を割って、地獄のもうじゃの鼓膜だって破れそうな程に大きな声。



「                  」





 その声を、私以外に聞くものは居ない。




 この世界に残っているのは、彼ひとりだけだから。




 その声を聞くのは、私に赦された罪滅ぼしだから。





「                           」





 もうすぐ終わる世界へ、存在自分を刻み込む最後の悪足掻き。





 応える事は出来ないけれど、君のことを忘れないでいられる。




 でも、それじゃあ、君は救われないね。





「           」





 私に赦された役割は、この世界が天命通りに間違いなく滅ぶことを確認することだから。




 一〇〇の世界の死に立ち会うことが、かみさまに生まれ変わる絶対条件だから。




 君をたすけることは不可いけないことだから。




「                                           」




 今はなんのチカラもない私だけど、君のいる世界の死を看取ったら、私はかみさまに成る。




 私は、かみさまになって。



「                           」




 そして、終わらない世界を創るよ。



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短篇『─SOUND ONLY─』 南 ヱ斗 @silver-lining

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