第12話:真実の愛を貫く王子の告白
王子が舞踏会場に選ばれたのは王城でも一番小さな場所です。
ですが、その格式は王城の舞踏会場でも三番目に高い部屋です。
本来なら伯爵位上しか入れない部屋なのですが、今回は一連の事件にかかわった功労者を表するという特別な計らいで、我が家もターニャの家も参加しています。
テレンス第五王子殿下が身分通り一番最後に入ってこられました。
殿下は真っ白な絹のシャツに身を包んでおられます。
華麗な刺繍や飾りが一切なく、清潔で清潔感に満ちています。
シンプルな襟元と袖口は、丁寧に仕立てられており、品位を保ちながらも過剰さを排除しています。
上品な黒のウェストコートを着用され、端正なシルエットが殿下の姿を引き立てています。
質感が豊かな高品質のウールで作られたウェストコートは、飾りのないボタンとパイピングで飾られ、品のある美しさを醸し出しています。
パンツは純白のストライプ入りウールトラウザーズで、シンプルながらも上質な素材感があります。
スリムフィットのデザインは王子の細身の体型を引き立て、洗練されたスタイルを演出しています。
足元には光沢のある黒のオックスフォードシューズがマッチしています。
靴底は滑りにくいゴムで作られており、王子の歩みを安定させています。
シンプルなデザインでありながらも高級感があり、殿下に相応しい品位を備えた足元を作り上げています。
清廉潔白で華美を嫌われる殿下は、身につけるアクセサリーも最小限です。
簡易な王子を示す紋章冠以外は、宝石も貴金属も身に付けておられません。
そんな殿下が真直ぐこちらに来られます。
「やあ、マチルダ、私たちの婚約話は聞いているかい?」
殿下らしい単刀直入な話しぶりです。
王侯貴族の迂遠な交渉とは全く違いますが、私にこの方が好ましいです。
「私は噂でしか聞いておりません。
父上と王家の侍従が水面下で話し合っておられるようですが、私は弟を押しのけて婿を取る気はありません」
「おお、良く言ってくれた、私も同じ考えだ。
庶出で第五王子に私がもらえるのは、僅かな領地と伯爵位だけだ。
それを気にした父王陛下と兄上方が、金廻りの良くなったクリフォード子爵家に私を押し込もうとしてくださっているのだが、私もそれは恥ずかしいと思っていた」
「殿下が反対してくださるのでしたら、我が家としても安心でございます」
「強制的に婿入りするのは嫌なのだが、マチルダ嬢とは結婚したいと思っている。
一目惚れだった、本気でマチルダ嬢を愛している証として、父王陛下には婿入りを断る、私の求婚を受け入れてくれないだろうか?」
「喜んでお受けさせていただきます」
陰謀渦巻く宮廷の闘い:子爵令嬢は借金返済のために成りあがり商人と婚約したのに、婚約破棄されてしまいました。 克全 @dokatu
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