第25話 引き篭もり、論破する
「さて……どうするかね」
俺は目の前でグネグネと動く気持ち悪いボスモンスターを見ながら呟く。
と言うか———
「さっきまで怒ってたから気付いていなかったけど気持ち悪っ!?」
「い、今更ですか!? 流石に遅すぎですよ!?」
「だって周りが見えてなかったんだもん!」
《今更かよww》
《と言うか周り見えてなかったんかいww》
《流石ライヤーさんww》
《期待を裏切らない引き篭もりだなww》
《最強厨:5000円 やっぱり2人の掛け合い好き》
《姫たんがいつも通りに戻って良かった》
《最近なんかおかしかったもんな》
「うっ……す、すいません……で、ですが! やっと気持ちの整理が出来たのでもう大丈夫ですっ!」
そう言って安心させる様に笑みを浮かべる姫乃を見ながら、俺は目の前のボスモンスターに再び魔法を当てる。
「【落雷】」
———ズガアアアアン!
「…………」
「効いてない、ですね……」
「やっぱり効いてないよなぁ……因みに姫乃の剣ではどう?」
「あ、やってみますね———【剣聖の閃光】」
姫乃の剣がボスモンスターを薙ぐ。
しかし———ツルンッという効果音が出そうな程綺麗に反射されてダンジョンの壁を大きく傷付かせた。
「……無理でしたね」
「ああ……無理だったな」
姫乃は気まずそうに剣を仕舞い、俺は雷を霧散させた。
そしてボスモンスターは長い時間をかけて———遂にその姿を現した。
「———ああ……何ていい気分なんだ……」
ソイツは———恐ろしいほどに漆黒な影だった。
人間の姿をした漆黒の影。
ソイツは真っ白な瞳を此方に向けて、忌々しそうに言葉を吐いた。
「先程はよくもやってくれたな……この私にあれ程の屈辱を与えるとは……決して赦しはしない」
「——————知るかっ! 全部お前が俺の親友に化けるのが悪い! つまり自業自得だボケ!」
《珍しく正論で草》
《ほら、図星すぎて何も言えないボスモンちゃんww》
《ニワカ:10000円 めちゃくちゃ今のはツボったww》
《いいぞいいぞー! そのまま論破しちまえ!ww》
《論破!! 論破!!》
《論破!! 論破!!》
どうやらリスナー達は論破をご所望の様なので、長年培ってきた俺の煽りスキルを見せてやる。
「大体人の大切な人に変化してオリジナルより弱くなるとかただのアホなんじゃないの? あ、もしかして舐めプしようとした? ならごめんね〜〜俺の方が断然強かったみたい〜〜。何なら俺が舐めプしてしまったかも♪ イキらせてあげられなくてごめんね〜〜?」
「…………」
俺が此処ぞとばかりに今までの鬱憤を込めて煽ると、ボスモンスターは目を閉じて何かを堪える様な行動をとった。
どうせならと思い、俺は追撃とばかりに口を開く。
「あ、もしかして全部図星だから何も言えないってこと? ぷーくすくす! 舐めプしようとしたら舐めプされてしまった件、ってか? あー何て惨めなんだろうなぁ……俺ならあんなことされたらそんな尊大な態度はとてもじゃないけど取れないなぁ……? あ、そもそも俺の言葉理解出来てないのぉ? それは困ったなぁ……? 俺は一瞬で取得したんだけどなぁ……? もしかして脳き———」
「———貴様だけはコロス!!」
突如俺へと襲いかかって来るボスモンスター———あーもうカマセでいいや———を見て俺はゲラゲラと笑いながら回避する。
「フハハハハハハ! やっぱり図星だったんだなぁ!? ダッサァーー!!」
「絶対にコロス!!」
「いや、煽り性能高すぎですよライヤーさん!?」
《ふははははははは気持ちいいいいい!!》
《マジで論破したぞ!!ww》
《それも超煽り口調でなww》
《笑い好き:50000円 ライヤーさんマジでオモロ過ぎww》
《てか此処まできたら全部正論なのにライヤーさんがボスモンを虐めているみたいww》
《それは思った》
《悪いの完全に向こうなのになww》
「ふははははははリスナーにもボコボコにされてて草だわー———ってうおっ!?」
俺が大爆笑していると、カマセの身体から真っ黒な剣が生えてきて、物凄い速度で俺へ向かって一直線に飛んできた。
しかし俺は少し驚いたものの、直ぐに軽く身体を捻って躱す。
「このダンジョンのボスは階層のトラップとかを設置したとは思えないほどおバカ……っと」
「貴様ァァァァァァ!!」
憤怒に顔を真っ赤に染めた(俺の予想)カマセが俺を攻撃して来る。
俺はそんな全ての攻撃を避けながら、この後どうやって倒そうか考え始めた。
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新作上げました。
今回は異世界ファンタジーで、推しのために力を振るう主人公の話です。
是非見てみてください!
『精霊学園の隠れ神霊契約者〜鬱ゲーの隠れ最強キャラに転生したので、推しを護る為に力を隠して学園へ潜り込む〜』
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