サービスマン、わからせる
大輔が問い詰めると、九重さんは
「しかし、ポッキーゲームとは合コンの定番だと聞きましたが?」
「いやいやいや──」
どこからどのように情報を得たのかは知らないが、ポッキーゲームといえば、あれだ。何かしらの細長い焼き菓子を両端から
「顔も合わせるのも嫌な相手ならば、即座にポッキーを叩き折れば、それでいい話では?」
「それはそれで、とても悲しいゲームになるね」
いざゲームをしようという段になり、対戦相手がワザとらしく失敗する様を見せつけられたのなら、それはそれでとても傷つけられる結果となる。やはり、パーティゲームをするにしても、もうちょっと角が立たないものを選んでもらいたい。
そう九重さんに伝えるのであるが──
「しかし私は、この合コンを盛り上げなければなりません」
「その使命感いったい何!?」
持ち前の
──仕方ない。
「はい、九重さん」
「……これは?」
「ポッキーゲーム。一回、やってみるよ」
テーブルの上にあったプレッツェルスティックを彼女に渡して、口に
「ほふぇえいーいふふぁ?」
「うん大丈夫。それじゃ──いくよ」
スティックを口に咥えておちょぼ口となり、無防備な体勢をとっている九重さんへと、有無を言わせずに近寄る。肩をがシリと掴むと「むっ」と警戒するような声音が出されるが、対応されるよりも早く顔を近づけていく。自然と、彼女の極めて美しい顔が間近に迫ることになるのだが、そこは心を必死に殺すことによって耐えた。ここで大輔が照れているようでは、彼女に危機感を抱かせることは不可能だろう。
そして、スティックの極端へと口をつけると、一気に
ボリボリボリボリッ──
「っ〜!?」
九重さんのご
そして互いの
「ダメですっ!」
パァン、と。
本日二回目のハリセンの音が鳴り響いて、大輔は彼女に問うた。
「これで分かってくれた?」
「はぁ、はぁ、はぁ……確かにこれは……不純です」
「うん、理解してくれて嬉しいよ」
ポッキーゲームとは、その気になれば簡単に
九重さんは「まさか、こんな
「しかし、困りました。合コンというのは、他に何をすればいいものなのでしょう?」
「えぇ……まだ何かするつもりなの?」
「合コンにはパーティゲームがつきものだと伺ったからには」
しかし、九重さんはまだ、やる気を失っていない様子である。
その理由を問うてみると「これも人助けですから」と鼻息の荒い返答があった。その動機の根源を知っている身としては、なんとも否定しにくい。もうやめてくれ、なんて言えないからには、仕方ないので代替案を彼女に提示する。
「それじゃあ。差し障りのないゲームがあるから、そっちをやろうよ」
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