サービスマン、ガールズトークの置物となる
病室へと踏み入ると、その少女は窓の外を見ているようだった。
なので、つられて視線は外界へとうつる。
少女はジッとそれを見つめている。
「ひまり、なにを見ているの?」
「ぎんいろどりっ!」
振り向いた少女は、とても可愛らしい子供であった。
九重さんの妹、九重ひまりちゃん。
彼女は
「だぁれ?」
それを受けて、まずは藤堂さんが自己紹介を始めた。名前を名乗り、九重さんの友人であると告げる。大輔もそれに
しばらくは藤堂さんが主導して、
内容については取るに足らないものだ。最近食べて美味しかったお菓子のことや、
藤堂さんには一つの依頼をしていた。
それは、ひまりちゃんにかかった呪いがなんなのか、調べてもらうこと。おしゃべりについては、その前置きなのだろう。きっと何かしらの
すると、おしゃべりの内容はどんどんと女子の趣味色が強いものになってしまい、まるっきりガールズトークとなる。そうなると、とてもではないが大輔では
そのように大輔以外がおしゃべりに花をさかせ、会話も
「
「えっ、もうすか?」
目を丸くしてしまった。
てっきり特別な機械でも持ち出して、精密検査のような行いがあると思っていただけに
「あとは医学的な
藤堂さんはそう言って立ち上がる。ひまりちゃんの
「
「先生なら今は
「なるほど、
藤堂さんは九重さんの両親にも用があるという。
確かに、ひまりちゃんの身に関わる大事な話であるからには、ご両親にもきちんと事情を説明しなければなるまい。子供達だけで
「それなら、私も行きます」
「そうですね……お願いします。私だけがお邪魔しても困惑させるだけでしょうから──」
すると九重さんが同行を申し出た。
彼女も
そのまま成り行きを見ていると、二人はあれよあれよという間に話を進めていき「それでは佐和くん、あとはよろしくお願いします」とだけ言って、病室を去ってしまった。残されたのは大輔と、そして状況がつかめずにポカンとした顔を見せるひまりちゃんだけである。
そうなると問題となってくるのは──
「えっと……ひまりちゃんは
「ううん、わかんない」
「……だよねぇ」
困ったことに。
六歳の女の子との共通の話題なんてない。
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