『第5話』坂下とまどかが結婚した日常

「坂下くん。いま手が離せないから、ちょっとお皿洗ってくれる。」

「わかった。それにしても、うちの子おっきくなったね。いやまさか。子供が生まれるなんて誰も思ってなかったよ。」

「そりゃそうだよ。だれが子供が生まれてくるなんてわかるのさ。預言者じゃあるまいし!」

「そんな怒んないでよ。」

「怒ってないけど・・・?」

「なぁーんだ。勘違いかぁ。最近まどかも、威厳出てきたね。子供に怒ってるからかな?それとも、頑張って働いてくれてるからかな?」

「働いてるのって関係なくない?」

「まぁそうだけど。疲れで威厳が出るってなんかありそうな話じゃない?」

「たしかに・・・私の場合、最近は、仕事と育児ばっかりしてるからね。でも、坂下くんも、頑張って働いてくれてるじゃん。そのおかげで、うちの家のローン一瞬で片付いたじゃん。坂下くん。1ヶ月で5000万ぐらい稼いでると思うけど?」

「俺そんなに稼いでたっけ?」

「自覚なかったの?今の坂下くんの貯金、1億超えてるの知ってた?私達大金持ちなんだよ。」

「そうだったんだ。」

「自分たちがお金をたくさん持ってるぐらいわかっとかないと、すぐ詐欺とかにあうよ?」

「そんな脅さなくてもいいじゃん。めっちゃ怖くなってきたよ。」

「それぐらいがちょうどいいんだよ。」

「どこがちょうどいいの・・・。怖すぎるよ。」

「あっ。ごめん。ちょうどよくなかったね。」

「そりゃそうだ。」

「まぁ。でも、子供もおっきくなったら、すぐ減っちゃうかもね。」

「子供には程よい贅沢させてあげたいもんな。」

「がっこうも、最近公立だと、いじめが多いって噂あるしなぁ。」

「それ東京だけじゃないの?」

「いや。どこもそうだと思うけど。」

「へー。初めて知ったかも。」

「まぁ。安全なところに入れてあげたいよね。」

「そうだね。この子はオレたちの子なんだから、悪にさらしたくないよ。」

「さっすがぁ。正義派!」

「正義派とかじゃなくても大体の人はそうじゃないかな。」

「そうだね。」

「そういえば、なみかたちって今どうなったんだろう。」

「未だ、彼女彼氏って感じらしいよ。」

「いいコンビなのにね。」

「私達、毎週、この話してない?」

「まぁいっしょ・・・。」

「私達、なみかを気にしすぎたと思うけど。」

「気にしてるのは、大松だよ。」

「どっちも気にしてるんじゃない。」

「まぁそういうことにしておくか。」

「うん。それが良いと思う。」

「そういえば、最近来てたチラシに書いてあったんだけど、子育て勉強会だって。」

「なにそれ。」

「新米父母が、子供の育て方をプロの父母に教えてもらったり、子供同士で触れ合ってもらったり。プロの父母の子供は大きい子らしいんだけど、その子に面倒見てもらったり。」

「へぇ。なかなかいいんじゃない。」

「これ抽選。」

「じゃあ応募したら?」

「これ明日開催。」

「じゃあもう無理じゃん。」

「もう当選済み」

「!早!」

「坂下くんが来なかったら一人で行く気でいたから。」

「いや。おいてく気でいないで。」

「別にいいじゃん。だって興味ないんでしょ。」

「いや興味ないと勝手に決めないで。って興味あるから。」

「あっ。そうなんだ。ごめん。」

「まぁ、良いけど・・・。」

「明日の新米父母の会。持ち物とかある?」

「スマホと子供。あと服。だって」

「いや、服着るのは当たり前。あと、子供は持ち物じゃないやろ。」

「だってそうやって書いてあったんだもん。」

「どういう精神してそれ書いたねん。おかしいって。その書き方。」

「たしかに今思い返せば、そうだった気もする。」

「いや、子供は持ち物じゃないって考えて。そのおかしい考え方に惑わされないで。」

「はーい。」

「さて早速明日の準備?するか」

「じゃあお風呂入れてくる。」

「うん。」

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