第8話 散歩に行くぞガレット!【九条side 】
放課後。家に帰った俺はリビングに直行する。
するとそこではいつものように、ガレットがソファーに寝転がってお昼寝していた。
ふふっ、仰向けになってヘソを丸出しにして、気持ち良さそうに寝てる。
けどごめん、起きてもらうぞ。
「ガレット。起きろガレット……お、目覚めたか」
パッチリ目を覚ましたガレットは、そのまま俺にスリスリ。ははっ、くすぐったいって。
俺はそんなガレットを撫でながら言った。
「なあガレット。ちょっと早いけど、散歩行かないか?」
「ワン! ワン!」
「お、行ってくれるか。よし、ちょっと着替えてくるから、待ってろ」
寝起きにも関わらず、散歩好きなガレットは尻尾をふって喜んでる。
俺はいったん部屋に引っ込むと制服から私服に着替えて、リードを持って準備完了。
服装、変じゃないよな。散歩に行くのに気合い入れすぎるのも変だし、まあこんなもんだろう?
「よし、行くぞガレット」
「ワン!」
リードを付けて、ガレットと一緒に外に飛び出して行く。
今日はいつもの散歩時間よりも早いけど、これには理由がある。
俺はブンブンと尻尾を振ってるガレットに語り掛けた。
「あのさガレット。今日はこれから、俺のクラスメイト……友達と会うんだ。わかるか、友達だ」
「ワン、ワン!」
「それでな。くれぐれも、失礼のないようにするんだぞ。間違っても、迷惑をかけないように」
「ワン!」
「本当に分かってるか? お前この前、蝶々を追いかけて羽柴にぶつかりそうになっていたからな。今度はちゃんと、お利口にしてるんだぞ」
ガレットに言い聞かせながら、この前羽柴と会った公園へと向かった。
しかし羽柴の方から、ガレットの散歩に連れて行ってって言われた時は驚いたよ。
何でも羽柴、犬は好きだけど触れ合った事はほとんどないから、ドッグカフェに行く前にガレットで犬慣れしたいんだって。
俺は別に、そんな構える必要なんてないって思ったけど、羽柴の親友小野寺いわく、もしも興奮しすぎて奇声を上げて犬を怖がらせちゃいけないから、慣れておく必要があるんだと。
なるほど、羽柴犬好きだからなあ。いきなりたくさんの犬に囲まれたら、嬉しくなりすぎるってわけか。
そういう事なら、断る理由なんてない。むしろ放課後も羽柴と会えて、俺も嬉しいと言うか……。
っと、そんな事を考えてるうちに公園についたけど、羽柴はもう来てるかな?
お、いたいた。
小野寺も一緒に来ていて、手を振ってる……うわっ!
「ワォーン!」
俺も手を振り返そうとした矢先、ガレットが興奮したように駆け出した。
ひょっとしてガレット、この前会った羽柴の事覚えてて、それで嬉しくなったのか?
ガレットはそのまま一直線。羽柴に向かって抱きついていく。
「うっ……うぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」
ははっ、羽柴も嬉しそうだなあ……って、あれ? 何だか様子がおかしいんだけど。
なんか羽柴、白目むいてないか?
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