第17話 オフ会

「オフ会?」


「はい…以前やっていたオンラインゲームで仲よなった方と、ですがオフ会と言っても私含め2人だけなのですが」


「でも、だからこそ不安なんです」


 どういうことだ?俺は尋ねる。


「2人だと相手が良くない人だった時に頼れる人がいないので怖いということです」


「なるほどな、じゃあ断ったのか?」


「いいえ、会う約束を取り付ける前に私の友人を連れてきても良いか聞いたところ二つ返事で快諾してくれました」


「えっと…つまり?」


「トシヤにも一緒に来てもらいます♪」


 マジかよ……


 ・・・・・・


「ついに当日になってしまった…」


「変な人だったらどうしましょう!!」


「なんで楽しそうなんだよ」


 するとエリは俺に近づいて言った。


「だって、その時はトシヤが助けてくれるんですよね?」


「なっ!?ま、まあそうだが…でも危なくないやつの方がいいだろ?」


「フフッ、確かにその通りですね」


 すると不意に俺たちに声がかかる。


「エリンさんとそのご友人さんですか?」


 俺とエリは声の方向を向いた。そこには小柄な少女が立っていた。というかこの子…


 なんて思った瞬間、その少女が俺を指差して言った。


「あっ!もしかしてトシヤさん!?ボクです!コマリです!」


「やっぱりコマリちゃんだ。もしかして、えーと、僕の友人が会う予定の人ってコマリちゃんだったの?」


 俺がそう言うとエリとコマリは互いに顔を見合わせて自己紹介を始めた。


「こんにちは、私がエリンです。よろしくお願いしますね、†深淵のサンクチュアリ†さん」


「ブフッッ!?」


 俺は思わずふいてしまった。そして謝ろうと思いコマリの方を向く。すると…


「ニ゛ャ゛ャ゛ャ゛ャ゛ャ゛ャ゛!!」ダッ


「あっ!?ちょっと!?コマリさーん!」

「待ってください†深淵のサンクチュアリ†さーん!」


「だからそれで呼ぶなよっ!?」


 ・・・・・・


「笑ったのは悪かったよ、だから機嫌直してくれないかなコマリちゃん?」


「最悪です…よりによってトシヤさんに見られるなんて、きっと同人誌みたいに脅されてあなことやこんなことされちゃうんです!」


「しないよっ!?僕そんなに信用ないかな?」


「うぅぅぅ…」


 そんな俺たちを見かねてか、エリが話題を振る。


「と、ところでお二人はどんなご関係なんですか?」


「ああ、コマリちゃんはフルネームは美園小鞠みそのこまりで僕のクラスメイトでクラスの副委員長だから良くしてもらってたんだよ」


「良くしてもらってたなんてそんな!むしろボクのおっちょこちょいをフォローしてもらってばっかりでお世話になりっぱなしなんです」


 そう言ってコマリはメロンソーダを飲むと何ともなげに言った。


「でも驚きです。良くしてくれる委員長とゲームで仲良しのエリンさんが付き合ってたなんて」


 その瞬間、俺とエリの時間が止まった。しかし俺はすぐに訂正する。


「別に付き合ってないよ?昔からの友人」


「そうなんですね!ちなみにトシヤさんは今は彼女とかいるんですか!?」


「いないよ、いたこともない」


「そうなんですね、にしてはトシヤさん女の子に慣れてますよね?」


「まあな、普段からエリと住んでるから慣れてるな」


 それ聞いたコマリは机をバンと叩くと大声で言った。


「そ、それって!つまりど、どど、同棲ってことですよね!?てことはやっぱりあんなことやこんなことを…ふにゃぁ」


 気絶した……


 ・・・・・・


「何だか賑やかな人でしたね」


 結局あの後俺たちはどうにかコマリを落ち着かせてその後すぐに解散した。ちなみにエリとコマリは普通に仲良くなったので当初の目的は達成されたと言えよう。


「まあな、あんな性格だから男女問わず人気のある子だよ」


 するとエリは何だか不機嫌そうに頬を膨らますと肩を寄せて言った。


「でも付き合ってるのか聞かれた時にすぐ否定されたのは何だか寂しかったですよ?もうちょっと狼狽えてほしかったです」


「んなこと言っても事実なんだから仕方ないだろ?」


「それは…そうですね」


「でも…いつかきっと」ボソッ


「ん?何か言ったか?」


「いいえ、何も。それじゃあ早く帰りましょうか。夜ご飯が遅くなってしまいますよー!」


「あっ!ちょっと待てよユイー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る