第3話 新キャラ登場

「起立っ、礼!」


 アリガトーゴザイマシター


「お疲れさん委員長!」

「じゃあな!俊哉!」


「うん、2人ともお疲れ様」


 突然だが俺はクラス委員長を務めている。理由は品行方正だからだが、根っこからそうではない。


「出来ればこんなかったるいことしたく無かったんだけどなぁ・・・」


 俺がそう呟くとふいに頸筋にピトリと冷たいものが当てられた。


「ひっ・・・!?」


 そう驚き振り返ると、そこには見慣れた顔のやつがいた。俺はため息をついてそいつに話しかける。


「お前か、唯」


「ニシシ、びっくりした?」


 コイツは徒花唯あだばなゆい。高校入学の時に知り合ったばっかの付き合いが短いやつだが、素の俺を知っている恐らく校内で唯一の奴だ。


 まあそれもうっかり見られてしまったものなのだが・・・


「急にやられれば誰だってビビるだろ」


「まあまあ、そんな冷たいこと言いなさんなって。それよりさ!この後予定ある?」


 予定か・・・今日はエリのこと迎えに行かないといけなかったな。


「悪い、今日はエリのこと迎えに行かないと行けなくてさ」


「エリって・・・アンタが一緒に住んでるっていうお嬢様?」


「そうだ、だから今日は遊び行けないぞ」


「そっか・・・」


 そう言って唯はしばらく考え込むと、何か閃いたような表情をして言った。


「じゃあワタシも連れて行きなさいよ!」


「・・・は?」


 ・・・・・・


 と、いうことで俺は今、唯と一緒にエリの学校の前にいる。帰りの生徒で賑わう中で他校の制服を着ている男女は浮いて見えていたことだろう。


 しばらくすると声をかけられる。


「お待たせ、俊哉くん。お待たせしてしまいましたか?」


「多少待ったが気にすんな」


 この気持ち悪いまでの丁寧な言葉遣い。これが学校でのエリらしい。学校柄この方が好ましいらしいが、難儀なものだ。


「ところで、お前の隣にいるのは・・・」


「あっ!紗倉じゃない!?」


 そう驚きの声を上げたのは唯だった。一方で、美琴と呼ばれた少女もまた目を丸くして言った。


「お、お姉ちゃんっ!?」


 えっ、おねえ・・・ちゃん?


 ・・・・・・

「改めまして自己紹介!ワタシの名前は徒花唯。そんでこっちが妹の紗倉。よろしく!四条さん!」


「あっ、ど、どうも・・・」


 近くの喫茶店に腰を落ち着かせると、唯は開口一番にそう言った。


 すると隣の少女はアワアワと唯を制止しながら言った。


「お、お姉ちゃん!そんなガツガツ言ったらダメだよ!?・・・あっ、私、徒花紗倉あだばなさくらです。お姉ちゃんがいつもお世話になってます」


「あっ、どうも。自分は結城俊哉って言います。いつもお姉さんの世話をしてます」


「ちょっとトシヤ!いい加減なこと言わないでよね!?」


 俺はそう言うユイの言葉をスルーしてサクラさんに質問をする。


「サクラさんとユイって双子なんだよね?」


「はい、そうですよ」


「にしてはあんまり似てないですよね。サクラさんはなんかお淑やかだけどユイは・・・」


「ワタシは、何ですって?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


「・・・何でもないです」


 そんな風に他愛もない話をしばらくしていると、これまで静かだったエリが立ち上がって言った。


「私たち、これからお買い物に行かないと行けませんので、これで失礼いたします」


「えっ、でも別に時間は・・・」


「行きますわよ・・・」ドスッ


「ウグッ・・・!?い、行きましょう」


 ・・・・・・


「いっててぇ・・・何だって急に店出たんだよ?向こう気悪くしたらあれだろ?」


「・・・・」ツーーン


 これは・・・恐らく何か怒ってるな。さてどうしたものか。


「買い物の時、プリンでも買って帰るか。ケーキ屋の良いやつ」


「・・・・」ツーーーーン


 ダメか・・・


「それならポテチもどうだ?甘いのと塩っぱいどっちもあるぞ?」


 すると、エリはクルリとこっちを向いて言った。


「そんな食べ物なんかで機嫌変わんないから」


「じゃあどうしろってんだよ・・・」


 そう言うとエリは俺に頭を近づけてきた。


「んっ・・・んっ!」スリスリ


「えっ・・・はっ?」


「んっ!」


「・・・・・」ナデナデ


「・・・・・」ムフー


 このまましばらくしてやっとエリが俺から離れてくれた。


「これでもう満足!じゃあ早いとこ帰るよ!」


 そう言ってエリは帰り道を颯爽と駆けていった。


 やっぱりコイツ、よく分かんねぇ・・・

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