第4話 晴れ後・・・
「んぉはよぉぉ・・・あれ?俊哉出かけるの?」
「ああ、2駅先のスーパーで特売やってるから、人多いしお前来ないだろ?」
するとエリは、1つ大きなあくびをしてから答える。
「ん、それじゃあアイス買ってきてね。ハイパーカップ」
「了解、お前もやることやっとけよ」
俺はそう告げると買い物へと出かけた。
そのまま特に問題なくスーパーにたどり着いた。するとそこに1人見たことがある奴がいた。俺はそいつに声を掛ける。
「こんちは、サクラさん」
「あっ、トシやさん。トシヤさんもお買い物ですか?」
「ああ、普段は来ないけどチラシで見たからさ・・・唯はいないのか?」
「お姉ちゃんは今日は家事担当なので家でお留守番です」
アイツ、あれで家事出来るのか・・・ていうか家事分担してるのか内とはずいぶんと違うなぁ・・・
「トシヤさん?どうしました?」
「あ、何でもない。ただ現実を憂いていただけだ」
「・・・?」
・・・・・・
「サクラさんは買うものもう決まってるのか?」
スーパーに入って中を回りながら俺がそう尋ねるとサクラさんは うーん と首を傾げながら答える。
「あんまり決まってないです。絶対に必要なものはもうメモしてますけど、それ以外のものは何も決めてません。てへへ」
そう言うとサクラさんはペロリと舌を出した。何とも愛嬌のあるものだ。姉にもこの愛らしさの何分の1かを分けてあげるべきだな・・・
「そうだ!トシヤさんこの後、時間ありますか?」
突然の質問に戸惑いながら答える。
「ああ、あるけど何か用事か?」
「用事、という訳ではありませんが近くのカフェでゆっくり出来たらと思いまして」
「そういうことか、だったらご一緒させてもらうよ」
そう答えるとサクラさんは嬉しそうに手を合わせて言った。
「ありがとうございます!それでは早くお買い物を終わらせましょう!」
アイス買う予定だったから寄り道しない予定だったが、まぁ帰りのコンビニで買えばいいか。
・・・・・・
「ふぅ、つい買いすぎちゃいました」
「はは、ホントに大量だね」
「だって、普段より半額くらいでしたし・・・」
「まあその気持ちは分かるよ。俺も買うもの決めてなかったらそれぐらい買ってたと思うよ」
そう言って俺たちはカフェの席に腰を下ろした。俺とサクラさんはそれぞれ、アイスコーヒーとウィンナーコーヒーを注文した。
「でもそんなに沢山持って帰れるのか?」
「それはご安心ください、お姉ちゃんに来てもらうように頼んでますから」
「そうか、じゃあここに誘ったのもその間の話し相手になってもらうためか?」
俺がそう尋ねるとサクラさんは自分の指を唇に寄せて言った。
「フフッ、正解です」
この人、見た目によらず案外ちゃっかりしてるタイプなんだな・・・
「ですが、せっかくだからゆっくりとお話ししたかった。というのも本当ですよ?」
「別にそれを疑っちゃいないさ」
そこまで話すと頼んでいた商品が届いた。
「おっ、届いたな。サクラさんはウィンナーコーヒー頼んだけど、苦いの苦手なのか?」
「そうですね、飲めないわけではありませんけど・・・どっちも頼めるなら甘いものの方を選んでしまいます」
「ふーん、子供舌なんだな」
するとサクラさんはグイッと身を乗り出して言った。
「私、子供なんかじゃないです!」
突然聞いたこともないような声で詰められた俺は、戸惑いを隠しきれなかった。
「ど、どうしたんだ急に!?」
すると、我に帰ったサクラさんはおずおずと席にまた腰掛けると恥ずかしそうに話し始めた。
「えっと、実は私、昔からお姉ちゃんに子供っぽいって言われることが多くて・・・・」
「でも、お姉ちゃんはお姉ちゃんだけど生まれた日が同じなのにそんな上から言うのはずるいと思ってて」
俺はその事に関して一言。
「双子って大変なんだな」
だって双子の事情とか分かりようないし・・・
「フフッ、ですね」
「あっ、でも私から見たらトシヤさんとエリさん。兄妹みたいですよ?」
「そうか?まあそう見えたとしても実際は家事手伝いと雇い主みたいなもんだ」
「そうなんですか?でも、向こうはそう思ってないかもしれないですよ?」
そう言われて俺はサクラさんの目線の方を向く。するとそこには、
「エリっ!?あとユイも」
「あとって何よ?そんなついでみたいに言わないでくれる?」
「悪い悪い、それより・・・エリさん?」
「どうかしました?雇われのトシヤさん?」
ヤバい!これはかなりキレ気味だ!どうしたもんか・・・
「と、とりあえず俺はここらでお暇させてもらうよ。楽しかったよサクラさん」
「こっちも楽しかったです。あと、サクラだけでいいですよ?」
「そうか、それじゃあなサクラ!あとユイも」
「だから!ついで扱いやめろっての!!」
そう喚くユイを横目に俺はエリと店を後にした。結局、エリのご機嫌は大量のアイスを買うことで事なきを得た・・・
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