12

1

悠side......




凛さんはいつもの優しい顔で・・・いつも以上の優しい顔で私を見下ろし片手を胸の上にのせていた。




そしてしゃがんで・・・




「ハナビを抱かせてもらえるかな?」




「いいけど、ハナビは結構毛が抜けるよ?

その高級スーツに毛がつく・・・。」




「後でクリーニングに出せばいいだから。」




「ネコの毛がついていると取ってからお願いするように言われるの!

結構手間なんだから!!

どうせ私がクリーニング出すんでしょ?」




「後日でもいつでもいいので。」




何故か嬉しそうな顔でそう言って、ハナビを抱く気満々で両手を出してきた。

なのでハナビに声を掛け凛さんの腕にのせた。




「珍しいね、ハナビは自分からじゃないと抱っこさせてくれないんだけど・・・。」




驚くことにハナビが凛さんに抱っこをされリラックスをしている・・・。

動く気配が全くないので、凛さんの椅子を引いてそのまま座ってもらった。




お母さんがお茶を出してくれ、お茶菓子まで出してくれ・・・。

その姿を見て・・・笑った。




「数日前より急にしっかりしてない!?」




私がそう言うとお母さんは綺麗にお化粧された顔で嬉しそうに笑った。




「数日前よりなんだ?

俺もさっき久しぶりにお会いして驚いたよ。

去年の11月にお会いした時と別人のようだったから。」




「数日前とも別人だよ!!何したの!?」




2人で驚いているとお母さんがいつもよりしっかりとした顔で私を見た。




「りぃたろさんが、きてくれ・・・るから、はりきって。」




「張り切っただけでそこまでになるの!?

化粧は?お父さん?」




「おかぁさんが・・・じかん、かけて。」




「めちゃくちゃ綺麗に出来たじゃん!

お父さん何でも出来るけど、化粧はセンスないもんね!!」




私がそう言うとみんなが笑っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る