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翌日・・・
「おはようございます!
先生、昨日はありがとうございました。」
悠ちゃんは元気に出勤してきた。
いつものように普通に、元気に・・・。
「お母さん、1人で大丈夫なのかな?」
「ヘルパーさんにも話してありますし、泣いてはいますけど、それで自分も死にたいとは思わないそうなので大丈夫です。」
そんなことをサラッと言って少し戸惑った。
「何かあったら、すぐに俺に連絡をして?」
「先生に?何でですか?
・・・あ、相続とかそういう系はいつかお願いしたいですね。」
悠ちゃんは笑いながらそう言って・・・。
「今、彼氏いるのかな?」
「別にいませんけど。」
「好きな人は?」
「別にいませんね。」
「そうなの・・・?」
それには驚き悠ちゃんをよく見る。
悠ちゃんは何でもない顔で笑いながら仕事を始めた・・・。
勘違いだったらしい・・・。
俺のことを好きだと思っていたのは、俺の勘違いだったらしい・・・。
*
「悠ちゃん、何が好きなのかな?
一緒に食事でも行こうよ。」
あれから悩みに悩んで、数日経ってから悠ちゃんを食事に誘った。
そしたらアッサリ断られて驚いた。
それから毎日のように食事に誘っている・・・。
なのに・・・
「好きな物は特にこれといってないですね。
他にも誰か行くんですか?」
「2人で行こうよ。」
「無理ですね。
先生と2人でご飯に行く理由もないので。」
こんな風にいつも言われてしまって・・・。
焦っている。
俺は焦っている・・・。
いつも近付いてくる女の子とばかり付き合っていたから、どうやって女の子と近付けるのか俺は知らなかった・・・。
「悠ちゃん、あの・・・」
悠ちゃんの肩に手を伸ばそうとした時、その手を軽く払われ驚いた・・・
「私に触らないで!!!!」
急にそんな大きな声を出され驚いたけど、笑ってしまった。
だって顔も真っ赤で泣きそうな顔をしていて・・・物凄く可愛かったから。
「アンタに頑張られるってことは、私が良い女じゃないってことなの!!!
分かってるの!!??」
そう怒っている顔も物凄く可愛かった。
とにかく、物凄く可愛かった・・・。
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